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血液中の「C7」でメタボ由来の脂肪肝の進行リスクを予測― 肝臓の線維化と、将来の肝がん・肝硬変合併症に関連 ―

【研究成果のポイント】

  • • 脂肪肝(MASLD)の患者さんでは、線維化が進むほど血液中の「補体C7」が高くなることが分かりました。
  • • C7が高い患者さんでは、将来の肝がんや肝硬変に伴う合併症が起こるリスクが高いことが分かりました。
  • • 日本の患者さん550人と、英国の大規模データ4,486人で、C7と肝臓の病気の進行との関連を検証しました。
  • • C7は肝臓の線維化した部分に多く見られ、採血による新たなリスク評価につながる可能性があります。

【概要】

信州大学医学部内科学第二教室の近藤翔平、木村岳史、岩垂隆諒、国際医学研究推進学教室の田中直樹らの研究グループは、米国・インドの研究機関との国際共同研究により、メタボ由来の脂肪肝(MASLD)において、血液中の「補体C7」が肝臓の線維化の程度や、その後の肝がん・肝硬変合併症のリスクと関連することを明らかにしました。

脂肪肝は、進行すると肝臓が硬くなる「線維化」が起こり、肝硬変や肝がんにつながることがあります。今回、血液と肝臓のデータを調べたところ、C7は線維化が進むほど高くなり、C7が高い患者さんでは将来の肝臓の合併症が多いことが分かりました。

また、C7は線維化した肝臓の特定の細胞に関連していることも示されました。将来的には、採血で脂肪肝の進行リスクを調べる新たな指標となることが期待されます。

【研究の背景】

肥満や糖尿病などに伴う脂肪肝(MASLD)は、身近な病気です。一方、進行しやすい患者さんを早い段階で見つけることは簡単ではありません。そこで本研究では、血液から病気の進行を見分ける手がかりを探しました。

【研究手法・成果】

1.血液中のC7は、線維化が進むほど上昇
肝生検を受けたMASLD患者430人を調べ、肝臓の線維化が進むほど血液中のC7が高くなることを確認しました。
2.C7が高い患者さんは、将来の合併症のリスクが上昇
血液中のC7が140µg/mL以上の患者さんでは、肝がんなどの肝関連イベントが多くみられました。別の日本人患者120人と英国の大規模データ4,486人でも関連を検証しました。
3.C7は肝臓の線維化した部分と関連
肝臓の詳しい解析で、C7は線維化した部分に多いことが分かりました。また、培養細胞でC7の働きを抑えると、線維化に関わる遺伝子の働きが低下しました。
図1 研究の全体像(一般向け説明図)

図1 研究の全体像(一般向け説明図)

【今後の展望】

C7は、採血によって肝臓の線維化と将来のリスクを評価するための候補となります。ただし、現在は研究段階のため、実際の診療で使うにはさらに検証が必要です。

【用語解説】

MASLD 肥満や糖尿病などの代謝異常に関連する脂肪肝。
補体C7 免疫に関わる「補体」と呼ばれるタンパク質の一つ。
肝線維化 肝臓に傷が蓄積し、徐々に硬くなること。
肝関連イベント 本研究では、肝がん、肝性脳症、入院を要する腹水、治療を要する静脈瘤など。

【論文情報】

論文タイトル Integrative Multi-Omics Analysis Identifies Stellate Cell-Derived Complement Component 7 as a Predictor of Fibrosis and Liver-Related Events in MASLD Patients
掲載誌 JHEP Reports
DOI 10.1016/j.jhepr.2026.101965
主な著者 近藤翔平、木村岳史、岩垂隆諒 (3名は共同筆頭著者)、田中直樹
研究支援 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED:JP25fk0210125、JP26fk0210190、JP256f0137007)、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(JP24K11087、JP25K19323、JP25K20541、24K18908)などの支援を受けて実施されました。
利益相反 詳細は掲載論文をご参照ください。

【問い合わせ先】

〈研究内容に関するお問い合わせ〉
信州大学医学部 内科学第二教室(消化器内科) 木村 岳史
〒390-8621 長野県松本市旭3丁目1番1号
電話:0263-37-2634 E-mail:t_kimura@shinshu-u.ac.jp
〈報道に関するお問い合わせ〉
信州大学 総務部総務課広報室
電話:0263-37-3056 E-mail:shinhp@shinshu-u.ac.jp
 
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