2025年 春・イタリア 「迷いを抱えたままで」(臨床実習)
氏名:森兼 絵莉子
派遣先:イタリア トリエステ大学
期間:2026年3月~2026年5月
留学先大学について:
私は2026年3月30日から5月29日にかけて、大学の提携先である、イタリア北東部のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にある小児医療専門病院Burlo Garofoloへ留学し、実習させていただきました。病院のあるトリエステ市は、スロベニアとの国境付近に位置し、さらにハプスブルク家のもとで主要港として発展した歴史を持つ港湾都市で、多彩な側面を合わせ持ちます。そのような歴史からイタリアの中でもカフェ文化が根付いていて、実際に毎日、院内併設のカフェまで足を延ばし、エスプレッソを立ち飲みしながら会話を楽しむ息抜きの時間がありました。
学習面について:
前半は総合診療部門と嚢胞性線維症センター、後半は神経精神科を選択しました。語学に関して、現地の人同士の会話はイタリア語で寂しい思いはしましたが、現地に着いてから少しずつイタリア語をインプットしつつ、医療者とは基本的に英語でやり取りしてもらえる環境でした。最初はあまりに英語が話せずもどかしい思いをしていましたが、次第に、積極的に英語を使い間違える中で、語学力のみならず度胸も付いていったのは、今回の留学で恵まれたことの一つでした。
また、長尺のレクチャーやカンファレンスにて、大きな卓に置かれたピザを自由に食べながら、スマホに各々のメモを取り、年次問わず発言し知識や感情を共有しながら進んでいくスタイルには、イタリアらしさがありました。
生活について:
住まいは、大学の寮を借りていました。平日は自炊を楽しみながら過ごし、休日には大学の学生さんとの交流や、レジデントの方々との食事、近隣への旅行などを通して、ヨーロッパの生活を楽しんでいました。スーパーは市内に多数あり、バスの交通網が整理されていて移動に不自由はあまりなく、治安も2026年現在リュックを後ろに背負えるほど良好でした。冬にはBoraという冷たく強い風が吹き付け身構えますが、春には花が咲いてきて、夏が近づくとビーチで日向ぼっこをする人がたくさんいるような、四季の豊かな場所でした。
留学で得たこと:
実習初日に、院長から「Don't be shy」と、また、アジア圏での勤務経験のあるレジデントの先生からは「ここでは、自分から動かないと何も始まらない。けれど、伝えれば希望は叶えてもらえるはずだよ。」とお声掛けをいただいていました。留学当初は、アジア人の留学生というよそ者の立場に寂しさをおぼえながら過ごしていましたが、先生方からの言葉を胸に、実習が充実するように機会を作っていただきつつ、普段の会話を大切にしていく中で、人の温かさに触れる日々が深まっていきました。
後輩へのアドバイス、奨学金システムへ一言:
英語に自信がないことを理由に留学を迷う人がいたら、心配しなくて大丈夫ですと伝えたいです。日本で少し練習して行きましたが、いざ現地に乗り込んでみるとイタリア訛りの英語に苦戦したり、あまりに伝えたいことを伝えられなくて驚かれたりもしました。しかし、臆せず話していくことで後から楽しさが付いてきて、次第にコミュニケーションに抵抗がなくなっていました。英語はまだまだ苦手ですが、帰国後の臨床実習では、日本での海外旅行中に救急搬送された患者さんに対して自然と英語で話しかけることができ、自分でも驚くほど行動が変化していることに気付きました。
また、現地では滞在期間の半分くらい風邪を引いていましたが、そういったトラブルやそこから生まれた人との出会いも含め糧になりました。
留学の経験は、留学中や直後に実感する自身の変化のみならず、月日が経ってから理解するものも恵んでくれます。留学を迷っている人がいたら、心配事を抱えたままとりあえず飛び込んでみて大丈夫ですと伝えたいです。