運動を核にした

研究

研究内容

地球温暖化、超高齢社会の社会問題に際し、その打開策を社会に提供することを理念とする。人類はその誕生以来、その優れた二足歩行による運動能(移動能)、環境適応能(体温調節能)によって地球上に広く分布してきた。しかし、最近の食糧・医療事情の改善、さらにアメニティの充実は、これらの能力を劣化させる一方、アメニティ獲得のための資源エネルギーの増大は、資源の枯渇、地球温暖化を促進させるという悪循環に陥っている。そこで、人類が生来持っている遺伝形質を再活用してこの悪循環を断ち切るという立場から研究を行う。

主な研究テーマ

生活習慣病・介護予防と治療のための方策の提供

我々は一般中高年者7300名を対象に、1週間に60分以上のややきついと感じる運動(インターバル速歩)を5ヶ月間実施すると、体力が最大20%向上し、生活習慣病の症状が20%改善し、うつ気分が50%の方々で改善することを明らかにしてきた。そこで、この研究対象を後期高齢者、病人にまで拡大しインターバル速歩の「治療」方法としての可能性を検証する。さらに、機能性食品との併用効果も検証する。また、それらの効果の発現メカニズムとして、炎症関連遺伝子の活性・不活性化の面からも検証する。

  • 長期間のインターバル速歩効果検証
  • インターバル速歩の認知機能改善効果
  • インターバル速歩トレーニング効果を高める機能性食品
  • 生活習慣病・介護予防と治療のための方策の提供1

運動反応性遺伝子の探索

同じ運動処方を行っても効果がある人とない人がいる。これは個人のもつ体質(遺伝子)に起因する。この遺伝子を明らかにすることで、学術的にはヒトのもつ優れた環境適応能の遺伝子が明らかとなり「ヒトとは何か」という科学にとって本質的な命題に取り組むことになる。応用面ではテーラーメード型運動処方に繋がる。また、フィールドで「釣り上げた遺伝子」について遺伝子改変マウスを用い、その機能を詳細に検討する。

  • 遺伝子多型と運動習慣の定着率と効果の個体差
  • バゾプレッシンV1a受容体と運動開始時の中枢性昇圧応答
  • 運動反応性遺伝子の探索1

運動時の熱中症予防のための方策の提供

我々は運動時の体温調節能の改善には血漿量の増加が必要条件であると考えている。そのメカニズムの解明と血漿量増加のための補助食品の開発を行う。さらに、フィールドで、大勢を対象に、体温調節反応が簡便に測定できる機器を開発する。

  • 携帯型発汗計の開発
  • 熱中症予防アラーム付消防服の開発
  • 運動時の熱中症予防のための方策の提供1

過去の研究テーマ

  • 運動+乳製品摂取の熱中症、生活習慣病予防効果
  • 運動時の交感神経性筋血流調節
  • 低圧低酸素環境における体温調節