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教授挨拶

goaisatu01 信州大学精神医学教室は、昭和24年に西丸四方教授によって開設されました。その後、原田憲一教授、融道男教授、吉松和哉教授、天野直二教授と引き継がれ、平成27年10月に私が6代目の教授を拝命しました。初代の西丸教授は、精神科医を志す者にとって必読書であるヤスパースやクレッチマーの著作を数多く翻訳されたほか、『精神医学入門』(南山堂)等、今日に至るまでその需要が絶えない著作を数多く執筆され、本邦の精神医学、特に精神病理学を牽引されました。原田教授から天野教授に至る歴代教授もその時代時代において、学問的背景は異にするものの素晴らしい業績を積み上げてこられました。


ところで、初代教授の著書の数々が初版から数十年たっても、依然として洛陽の紙価を高める状況がみられる医学領域はそう多くはないでしょう。精神医学は優れた「古典」が少しも古びず現在までも生き続けている、稀有な学問領域です。透徹した観察と深い思索によって紡ぎだされた人間に対する理解には古いも新しいもないということでしょう。

一方で、私も携わった生物学的研究手法の進歩はすさまじく、今やこの分野抜きにして精神医学研究は語れません。臨床、研究のどちらにおいても、変わらないもの、変えてはいけないものをしっかり守り引き継ぐとともに、大胆かつ柔軟に新しい方法論も取り入れることによって、識見、技能ともバランスのとれた精神科医を育てていきたいと私は考えています。そして、そのような若い人たちと一緒に、患者さんと地域に貢献できる精神医療を実践し、臨床に根差した優れた精神医学研究を世界に向けて発信していきます。

当教室では一貫して「一人一人の患者さんを丁寧に診る」臨床重視の姿勢が大切にされてきました。信州大学で精神科医としてのスタートを切る場合、しばらくは病棟で患者さんに張り付くような生活になるでしょう。

子どものこころ診療部と密に連携し、物忘れ外来を開設していることもあって、特定の疾患に偏ることなく幅広いライフステージの患者さんの診療を経験できます。なによりも教室の雰囲気が明るいことが誇りです。症例検討会に出てみると、若手の医師がどんどん手をあげて発言する姿に驚くかもしれません。精神科医になろうと考えている人はもちろん、臨床実習や初期研修で少し精神医学に興味を持った人、専門はまだ決められないけれど、人と人との心の通い合う医療を行いたい人などにも、当教室は必ずやその期待に応えることができると自負しています。ぜひ、信州大学精神医学教室の門を叩いてみてください。


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