" 研究内容の紹介 -センサ-

センサグループ

図1 鉄道分野における
電磁センサの応用先
図2 レール変位センサの実験装置


  • センサグループの紹介

     電磁センサは電磁誘導現象を利用して測定対象の磁界の大きさや変化量を電気信号として検知するセンサです。 中でも対象物との距離を測定する渦電流形変位センサは耐環境性に優れているために,多方面の産業分野(エネルギー分野や鉄道・自動車など)で使用されています。 センサグループは企業との共同研究を行っているために研究室での実験だけでなく実地試験を通してセンサの高感度化や多機能化を目指しています。

  • センサグループ 研究内容

    渦電流型レール変位センサの高リフトオフ化 [共同研究]

       軌道状態は軌道検測車(ドクターイエローやEast iなど)と呼ばれる特別車両によって管理されており,管理項目の中にレールの横方向のズレに当たるレール変位測定があります。 レール変位の測定方式は光学式と渦電流式の二種類に大別され,渦電流式は,測定精度において光学式よりも劣りますが,降雨や積雪の影響を受けにくいために天候に左右されず測定できます。
       現在,渦電流型レール変位センサはレール頭頂面からセンサまでの距離(リフトオフ)を25 mmとして運用しています。 しかし,リフトオフが短いためにセンサが砂利や積雪と衝突して故障や誤作動を起こしており,リフトオフ延長が求められています。
       渦電流型レール変位センサは励磁コイルから生じた磁束がレールに鎖交することでコイルのインピーダンスが変化してレール変位を検出します。 センサ感度の向上とリフトオフを延長するために駆動周波数の高周波化に加え,コイルの構造検討を行っています。
      図3 レール変位センサの問題点
      図4 レール変位センサの構造と物理現象

      論文・国際会議・学会発表

      [1]近松 具樹,佐野 太規,佐藤 光秀,水野 勉,榎木 茂実,旭 尊史,松浦 史明:「高Q値化による渦電流型レール変位センサの高リフトオフ化の検討」,日本AEM学会誌,Vol. 29,No. 1,pp. 149-154(2021)

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    電磁センサを用いた車両位置検知方法の開発[共同研究]

       鉄道分野では安全かつ効率的な運航管理のために車両位置検知は必須となります。列車の位置検知は,軌道回路等の地上設備により列車の位置を特定して安全性を担保する方式が主流です。 近年は設備の維持に係るコスト削減のために,車上主体で位置を特定する方式の研究開発が進められています。
       位置検知技術の一つに,鉄道車両に搭載された車上子によって軌道上に敷設された地上子を検知し,位置情報を取得する方式があります。 この方式は精度が高い一方で,地上設備にコイルや情報伝送等の電子機器類を備えた地上子が必要となるため,導入・保守コストがかかります。
      上記の背景のもとに,当研究室では鉄道車両に電磁誘導センサを搭載し,軌道上に敷設した寸法の異なる金属板を判別することで位置を検知する方式を提案しています。
       この方式は地上設備が金属体マーカであるためにシステムが簡素かつ導入・保守コストが安価で,耐環境性に優れるなどのメリットが期待されます。
      図5 車上位置検知センサの構造
      図6 車上位置検知センサの実験装置

      論文・国際会議・学会発表

      [1]近松 具樹,大森 湧也,佐藤 光秀,水野 勉,金子 亮,關 淳史,中山 雄一郎:「電磁誘導式車両センサにおける出力特性を活かした検出性能向上」,日本AEM学会論文誌,Vol.29(2),pp.427-433(2021)
      [2]大森 湧也,近松 具樹,佐藤 光秀,水野 勉,金子 亮,關 淳史,中山 雄一郎:「車上位置検知センサの寸法が検知感度に与える影響」,MAGDAコンファレンス講演論文集,Vol.30th,pp.85-90(2021)

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