" 研究内容の紹介 -モータ-

モータグループ

図1 解析の様子 図2 実験の様子


  • モータグループの紹介

     モータは電磁気を利用して,電気エネルギーを運動エネルギーに変換する技術です。家電や自動車など電気で動くものの多くに実装されています。
     本研究室では,様々な応用先のモータの高効率化などを目標とした研究開発を行っています。

  • モータグループ 研究内容

    埋込巻線形同期モータ(IWSM)[研究成果最適展開支援プログラムA-STEP]

       現在,モータは世界の消費エネルギーの約半分を占めており,省エネルギー化のためにモータの高効率化は急務とされています。また,モータの要求として,高効率化とともに小型化が要求されています。モータの小形化のためには高速回転化が有効的ですが,高速回転化によって損失が増加することが課題となっています。
       従来の技術では一種の損失を低減しても,モータの損失の発生原理が様々で複雑なために他の損失が増加します。そのため,高速回転モータの複数の損失を低減する技術が求められています。
       そこで本研究室では,磁性コンポジット材を用いることで高速回転モータの損失を低減しています。モータを高速回転させたときに発生する損失として,材料が原因となって発生する損失と構造が原因となって発生する損失とが挙げられます。磁性コンポジット材を回転子と固定子の間に適用することで材料にも構造にも効果的な設計をしています。研究室では解析ソフトにて材料の適用範囲などを検討し,実機試験によってその効果を実証しています。
      図3 モータの3DCADモデル
      図4 モータの構造

      論文・国際会議・学会発表

      [1]「磁性コンポジットリングの機械特性を考慮した埋込巻線形同期モータ(リング形)の機械強度」,増田 良健,吉田 亮,堀内 学,高沢 渓吾,楡井 雅巳,佐藤 光秀,水野 勉,RM-21-109 産業応用部門 回転機研究会,pp. 41-46,2021
      [2] ”Reduction of Loss in Ultrahigh-Speed Interior Winding Synchronous Motor Using Magnetic Composite Material”,R. Yoshida, R. Masuda, M. Horiuchi, K. Takazawa, M. Sato, T. Mizuno, M. Nirei, 2021 24th International Conference on Electrical Machines and Systems(ICEMS), 2021
      [3] “Reducing Rotor Temperature Rise in Concentrated Winding Motor by Using magnetic Powder Mixed Resin Ring”, M. Sato, K. Takazawa, M. Horiuchi, R. Masuda, R. Yoshida, M. Nirei, Y. Bu, T. Mizuno, MDPI Energy 2020, 13, 6721, 2020

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    可変磁束モータ 

       脱炭素社会実現のために電気自動車が普及しています。 自動車に搭載されるモータは市街地走行時の低速運転,高速道路走行時の高速運転など異なる駆動条件で使用されます。 電気自動車の航続時間を延ばすために低速運転から高速運転までの広い領域で高効率なモータが求められています。 幅広い領域で高効率なモータを実現するために,モータの構造によって磁束の振舞いを変える「可変磁束モータ(図5)」が注目されています。
       本研究室では,磁性コンポジット材を利用して,回転子内の構造と組み合わせることで広範囲での高効率化を検討しています。 可変磁束モータは回転子に空気層を設けることで,巻線から生ずる磁束によってモータ内部の磁束の流れを変えます。 空気層に磁性コンポジット材を充填することでモータの高効率範囲を大きくし,効率をさらに上げることができます。
       高速回転時には磁性コンポジット材の部分をヨークとして活用して損失を低減します。 低速回転時には磁性コンポジット材が磁束のバリアとなり,効率的にモータを駆動することができます(図6)。 材料と構造とを密に組み合わせて検討することで高効率なモータを設計します。
      図5 可変磁束モータ
      図6 モータの磁束密度分布
      (左:高速回転時,右:低速回転時)

      論文・国際会議・学会発表

      [1] 「磁性コンポジット材を用いた可変磁束モータの提案」佐藤 光秀,高沢 渓吾,堀内 学,増田 良健,吉田 亮,楡井 雅巳, 水野 勉,電気学会研究会資料,RM-21-106 産業応用部門 回転機研究会,pp. 23-28,2021

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    磁性シートモータ[国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO_航空機用先進システム実用化プロジェクト] 

       モータやインバータ技術の発展によって,ドローンの普及が急激に進んでいます。 ドローンの航続時間を延ばすためにモータの高効率化は必要不可欠です。 特にドローンには搭載できるバッテリのサイズが制限されているために,モータの高効率化は急務です。 複数存在する損失の中でも巻線で生ずる損失はモータ本体だけでなく,モータを駆動する機器などからの影響をより強く受けて損失が増加しやすく対策が必要となっています。 巻線で生ずる損失は,電流を流した時に生じるジュール損失だけでなく,永久磁石などから生じた磁束が巻線に鎖交することで巻線から損失が生じます。
       そこで本研究室では,金属粉末と液体樹脂を混合した磁性材料をテープにして巻線に巻き付けることで,損失低減の研究をしています。
       巻線に磁性テープを巻き付けることによって永久磁石などから生じた磁束を磁性テープに誘導します。磁束の経路を制御することで巻線に鎖交する磁束を抑制し,損失を低減しています。 磁性テープの開発を通して材料の検討からモータの構造設計まで取り組んでいます。
      図7 ドローン用モータの構造
      図8 磁性テープの効果
      (左:テープなし,右:テープあり)

      論文・国際会議・学会発表

      [1] "Effect of Magnetic Properties of Magnetic Composite Tapes on Motor Losses", R. Yoshida, J. Kitajima, T. Sakae, M. Sato, T. Mizuno, Y. Shimoda, A. Kubota, S. Wada, T. Kichiji, H. Kumagai, MDPI Energy 2022, 15, 7991, 2022
      [2] 「交流銅損低減のために磁性テープを巻線に貼付したドローン用アウターロータモータ」吉田 亮,北島 純,栄 隆志,佐藤 光秀,水野 勉,下田 勇気,久保田 晃弘,和田 章吾,吉地 輝朗,熊谷 秀夫,電気学会研究会資料,RM-22-057,LD-22-055,HCA-22-040,産業応用部門 回転機/リニアドライブ/家電・民生合同研究会,pp.41-46,2022

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