ごあいさつ
Greeting

香山 瑞恵

アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム会長/
信州大学副学長(産学官・社会連携)
香山 瑞恵
Mizue Kayama

アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム会長
/信州大学副学長(産学官・社会連携)
香山 瑞恵
Mizue Kayama

 アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)は、信州大学アクア・イノベーション拠点(信大COI)が生み出してきた研究成果を幅広く社会に展開することを目指し、2019年8月に設立されました。
 本プラットフォームの母体となった信州大学アクア・イノベーション拠点(COI)は、2013年に文部科学省と科学技術振興機構(JST)の「革新的イノベーション創出プログラム」に選定され、9年間にわたって研究開発を行いました。この間に、高濃度のカーボンナノチューブをポリアミドに複合した逆浸透(RO)膜の開発に成功し、タンパク質など有機系の汚れや炭酸カルシウムなど無機系の汚れがつきにくいメカニズムを解明、優れた耐ファウリング性、耐スケーリング性を示す新たな膜を生み出しました。また、セルロースナノファイバーを用いて、高い透水性能と耐ファウリング・薬品性、低圧駆タイプのRO膜の開発なども実施してきました。RO製膜に関して材料からモジュール化まで一貫して作製できる設備開発が他にない特徴の1つとなっています。
 こうして生まれた多彩な研究成果の社会実装先は、海水淡水化や超純水製造のみならず、産業用の水処理、環境対応の再生水、健康嗜好品や健康水、食品分野の物質分離と新製品創成、医療分野など多種の分野に及んでおり、AxC-PFは、生み出された多彩な研究成果を会員間で情報共有するプラットフォームとして、また社会実装へ向けた共同研究の土台作りのプラットフォームとしての役割を果たしてまいりました。
 おかげさまで、プラットフォームが発足して6年が経過し、会員数は順調に増え、いまでは88機関に上っております。
 年3回実施される、講演会・懇談会は毎回好評で、オンラインも含めて100名近いご出席をいただいており、情報交換会へは40名を超える会員様にご参加いただき、毎回活発な意見交換が行われています。
 2024年には、研究代表者 遠藤守信 特別栄誉教授のチームは「極超低圧で駆動する超高透水逆浸透膜・モジュールの製造・販売事業に向けたフィージビリティスタディ」の課題にて、IJIE(Inland Japan Innovation Ecosystem)-GAPファンドプログラムに採択されました。

 IJIEは、甲信・北関東の6大学の特色ある研究成果・技術シーズに基づく起業を地方自治体、地方銀行等との連携により推進し、地方型スタートアップ創出・成長加速エコシステムの共創を実現するプロジェクトで、研究チームはビジネスとしての可能性の評価と実証(PoC)を行い、起業にあたってクリアすべき課題の解決を目指しております。
 AxC-PFは、起業に向けて、カーボン研究をはじめ信州大学の強みである材料研究や分析技術に関わる産業界での活用について、より一層支援してまいる所存でございます。
 今後とも、会員の皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和7年4月1日 香山 瑞恵