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修士課程 医科学専攻

形成再建外科学

分野の概要

形成再建外科学は、先天異常、外傷あるいは腫瘍切除が原因で生じた組織欠損を再生修復する方法を探求する学問です。組織欠損を解決することで、外観の異常と機能の低下を改善し、生活の質を向上させる臨床の現場に直結する研究と教育を行っています。解剖学や形態組織学に加えて、創傷治癒、組織移植や組織再生など、あらゆる手段を探求し、それを臨床の現場に活かしていきます。

 

研究テーマ

1. 顔面計測による研究
 健常人における顔面の基準値を小児から高齢者まで計測し、日本人における平均値を追及しています。また、その値の体位による変化や、顔面に疾患のある患者と比較することでより手術の精度を向上できるよう研究しています。

2. 赤唇の再建と再生治療に向けての組織学的研究
 赤唇は、身体で唯一赤い皮膚をもつ組織であるため、先天異常や外傷、腫瘍切除により欠損すると修復することが難渋する部位です。赤唇の組織学的解析を含め、他の皮膚と比較してどのような特徴があるのかを明らかにすることで、よりよい赤唇再建そして赤唇再生に応用できるよう研究を行っています。

3. ミトコンドリア移植による創傷治癒研究
 細胞のエネルギー産生の要であるミトコンドリアは、機能不全になると細胞だけでなく、組織や個体にまで影響します。機能的ミトコンドリアを細胞へ移植することで細胞自体の活性化を促し、創傷治癒を促進する効果に関して検証を行っています。

4. アカハライモリを用いた皮膚再生、Scarless healing(瘢痕のない創傷治癒)研究
 アカハライモリは深い傷を負っても、傷あと(瘢痕化すること)なく完全に再生する能力を一生涯持ち続ける特殊な生物です。この驚異的な再生能力の機序を解明しつつ、ヒトへ応用することを目指して研究を行っています。

5. 赤外線血流モニターを用いた非侵襲的血流評価法の開発
 対象物に触れることなく皮下数ミリの血流を評価できる赤外線血流モニターを用いて、虚血肢の新規スクリーニング法の開発や、手術後や創傷治癒時の血流変化を捉えることで新たな評価法の開発に取り組んでいます。

6. 爪甲変形に対する新規治療法開発
 肥厚した爪甲や、ヤギの角のような変形を来たした爪甲を、肥厚爪や鈎彎爪といいます。爪甲変形時の爪母や爪床などの組織においてどのような変化が生じているのかを様々な手法を用いて解析することで、爪甲変形に対するより侵襲の少ない新規治療法を開発する研究を行っています。

これ以外にも、様々な臨床・基礎研究を行っています。

スタッフ

教授

杠  俊介

講師

常川主裕

助教

永井史緒、栁澤大輔、重吉佑亮、一之瀬優子(兼務)

主要な成果/Major Publications

  1. Ishii T, Takashimizu I, Casco-Robles M.M, Taya Y, Yuzuriha S, Toyama F, Maruo F, Kishi K, and Chiba C. (2021) Skin Wound Healing of the Adult Newt, Cynops pyrrhogaster: A Unique Re-Epithelialization and Scarless Model. Biomedicines https://doi.org/10.3390/biomedicines9121892.
  2. Hosomi K, Yusuriha S, and Yanagisawa D. (2021) Buried Patch Skin Grafting Under Granulation Flap for Impaired Wounds with Local and General Severe Complications. International Journal of Surgical Wound Care 2(4): 84-89.
  3. Tsunekawa K, Kato T, Ebisawa S, Tsuzuki S, Takashimizu I, Yuzuriha S. (2021) Which plantar region can predict peripheral arterial disease by using laser speckleflowgraphy? Heart and Vessels http://doi.org/10.1007/s00380-021-01985-x.
  4. Nishioka H, Hishikawa M, Nagai F, and Yuzuriha S. (2021) Morphological Changes in Faces Depending on Posture. Facial Plast Surg https://doi.org/10.1055/s-0041-1729910.
  5. Tsunekawa K, Nagai F, Kato T, Takashimizu I, Yanagisawa D, and Yuzuriha S. (2021) Hallucal thenar index: a new index to detect peripheral arterial disease using laser speckle flowgraphy. Vascular 29(1): 100-7.
  6. Nishioka H, Yasunaga Y, Yanagisawa D, Yuzuriha S, and Ito K. (2020) Where do you insert a drain tube during breast reconstruction? Surgery Today https://doi.org/10.1007/s00595-020-02043-1.
  7. Hosomi K, Yuzuriha S, Nagai F, and Yanagisawa D. (2020) Additional relaxing suturing using absorbable symmetric barbed sutures to help close scalp defects. Plast Reconstr Surg - Glob Open 8(3): e2568.
  8. Yuzuriha S, Nagai F, and Noguchi M. (2019) How to manage disfiguring scars in involuted infantile hemangioma. Adv Wound Care 8: 221-9.
  9. Nakajima Y, Yuzuriha S, Nagai F, Fujita K, and Noguchi M. (2019) Oronasal transfixion suture to prevent uplifted nasal floor deformity in cleft lip and palate patients: a 5-year follow-up. The Cleft Palate-Craniofacial Journal 56(3): 390-4.
  10. Takashimizu I, Yuzuriha S. (2018) The amounts of melanin pigment causing color differences between the vermilion and lip mucosa. J Plast Rreconstr Aesthet Surg 71: 1816-1834.