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教育方針・目的・目標

1)教育・研究の特色,卒業生の活躍分野

ファイバー材料工学コースは,資源・エネルギー・環境問題の解決に役立ち,持続性のある社会を目指したファイバー・機能性材料の創成と応用に関する学問を教育・研究するコースである。繊維学部において充実しているファイバー材料工学分野に広い工学的視点を養う化学工学を取り入れて特色のある教育を行っている。当コースの教育プログラムは日本技術者認定機構 (JABEE) から認定を受けており,プログラムを修了した本コースの卒業生は, 質の高い研究者,技術者基礎教育を受けたことが客観的に証明され,国家資格である「技術士」の第1次試験が免除される。
当コースでは,燃料電池や太陽電池やバイオマス利用や光触媒や水浄化のようなエネルギーと環境の問題を解決する研究分野,新しいファイバー材料や環境負荷の小さい材料などを合成する研究分野,生体高分子を再生医療や健康維持のために活用する研究分野,材料のナノ構造を明らかにする研究分野などで優れた先進的な研究を行っている。卒業生は,化学,繊維,電気機器,機械,自動車と幅広い業種へ就職し,材料化学や化学工学を強みとする研究者・技術者として活躍している。

2) 目指す研究者・技術者像

ファイバー材料工学コースでは、化学や材料に関する工学の教育・研究を通じて、自ら問題を発見し、方向性を定め、目的意識と責任感を持ちながら仕事を進められる自律型の研究者・技術者を育成する。本コースを卒業した人材は、自らの学習をデザインすること、自然や社会との関係性を見出し、ルールをつくること、まわりに働きかけて、一人では得られない新しい発想や深い洞察を得ることができる。それらの力を活かし、学びあうコミュニティーをつくって、ひとやものの価値がわかる社会を築き、その社会に対して価値あるものを生み出すことで貢献する。

3) 学習・教育目標

ファイバー材料工学コースは、目指す研究者・技術者像を実現するために、以下のAからFで示される学習・教育到達目標を設けている。

目標A 自然や社会を多面的に捉え、それに技術がおよぼす影響を理解する能力

  1. 【多面的思考】同じ考えをもった人だけで集まった組織では,社会の変化と発展についていけない。様々な文化や社会や自然に関する知識を理解し,多面的な考え方をして自分とは異なる考え方を許容できるようにする。
  2. 【技術者倫理】技術は社会に対して,よい影響を与えることが期待できる一方,悪い影響を与える危険がある。技術が公共の福祉に与える影響や,環境保全と社会の持続ある発展にどのように関与するかを理解できるようにする。

目標B 自立した研究者・技術者として行動する能力

  1. 【学習デザイン】学習は,自らを高めるための有効な方法である。自分自身の目的と目標を明確にし,現状を把握して,目標と現状のギャップから必要な点を考え,自分自身で学習をデザインできるようにする。
  2. 【当事者意識】誰かがなんとかしてくれると考えずに,責任を持って自ら仕事を進めるとよい。自分自身の学習デザインにしたがって学習に取りかかり,必要に応じて計画を修正しながら,期日までに進められるようにする。時間や費用が限られた中で計画的に仕事を進め,計画の進捗を把握し,必要に応じて計画を修正する。

目標C コミュニケーションをはかり協同作業をする能力

  1. 【情報意見交換】自分とは異なる考え方をもつ他者に働きかけることによって,新しい発想や深い洞察を得られる。自分の考えを事実に基づいて他者に述べるとともに,他者の考えをよく聞いて理解する。
  2. 【英語力】世界に広がる情報や意見を英語で理解できるようにする。
  3. 【チームワーク】新しいことを成功させるために,異なる分野の人がチームをつくって仕事をする。チームの目的を理解して他のメンバーと共有し,自分の役割を把握してチームに貢献しようと力を尽くし,メンバーのやる気を高めて,各自の力を足し合わせた以上の力が出せるチームにできるようにする。

目標D 科学、工学の基礎知識を理解する能力

  1. 【数学・科学・情報基礎】微分積分や線形代数といった数学,力学や電磁気といった物理,および情報技術に関する基礎知識を身につけ応用できるようにする。
  2. 【工業数学・プログラミング】工学に必要な数学やプログラミングに関する専門知識を身につけ応用できるようにする。

目標E 化学、材料に関する工学的問題を解決し,工学システムやプロセスを設計する能力

  1. 【化学基礎】大学1年生レベルの化学に関する基礎知識を身につける。
  2. 【化学工学基礎】化学工学量論,熱力学第1法則・第2法則,化学熱力学,移動現象論を学び,化学工学の基礎を身につける。
  3. 【材料・物性】無機化学,有機化学を基礎として,無機材料化学,ファイバー化学からなる材料化学を身につける。また,量子力学を基礎として,材料物性に関する専門分野を身につける。
  4. 【プロセス・システム】反応速度論を基礎として,反応工学,分離工学,環境プロセス工学,プロセス・システム工学などからなる製造プロセスや利用システムに関する専門分野を身につける。
  5. 【応用・デザイン・マネージメント】化学および化学工学に関連した問題解決の事例を通して,経済性・安全性・信頼性・社会および環境への影響など社会的背景を考慮しながら専門知識を用いて問題を発見し解決する方法を身につける。
  6. 【実験】化学および化学工学に関する実験などの実践的な学習を通して,知識を実践的に理解できるようにする。

目標F 現代の社会問題を見出し,工学的に解決する能力

  1. 【問題発見】あるべき姿を描き,現状を把握する。あるべき姿と現状のギャップを解決すべき問題として認識する。
  2. 【本質把握】考慮すべき条件を特定し,解決すべき課題を論理的に整理して,問題の本質を把握する。
  3. 【解決立案】学んだ知識を活用して,種々の制約条件を考慮した上で解決方針を立案する。
  4. 【問題解決】解決方針にしたがって問題を解決する。