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谷内 靖

谷内 靖

数学科

講座:解析学分野
職名:教授
略歴:
1993 年名古屋大学理学部物理学科卒業
1995 年名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士課程前期課程修了
1998 年名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士課程後期課程 修了 
キーワード:流体方程式
ホームページ:http://math.shinshu-u.ac.jp/~taniuchi
SOARリンク:SOARを見る

流体の流れの解析

非圧縮性流体の解析

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私の研究テーマは非線形偏微分方程式,特に流体の力学の基礎方程式を研究しています。流体には非圧縮性流体(縮まない流体)と圧縮性流体(縮む流体)があります。たとえば,水は非圧縮性流体であり,空気は圧縮性流体(縮む流体)です。私は非圧縮性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式やEuler方程式を関数解析的に研究しています。Navier-Stokes方程式とは以下のようなものです。 \[ \left\{\begin{split} &\partial_t u-\Delta u +u\cdot \nabla u +\nabla p = f, \\ &\nabla \cdot u=0\\ &u(x,0)=a(x), \quad u(t)|_{\partial\Omega}=0 \end{split} \right. \] ここで,\(u(x,t)\)は,空間上の点\(x\)における時刻\(t\)での流体の速度ベクトルであり,\(p(x,t)\)は流体の圧力です。 また,Euler方程式とは,以下のようなものです。 \[ \left\{\begin{split} &\partial_t u+u\cdot \nabla u +\nabla p = f, \\ &\nabla \cdot u=0\\ &u(x,0)=a(x), \end{split} \right. \] Navier-Stokes方程式は粘性をもつ流体の運動を記述し,Euler方程式は粘性のない理想流体の運動を記述します。

Navier-Stokes方程式は,滑らかな初期条件\(a\)と外力\(f\)が(ある意味で)十分小さいときは,時間大域的に滑らかな解が存在することが知られています。しかし,大きな初期条件\(a\)と外力\(f\)に対しては,時間大域的に滑らかな解があるかどうかは未解決です。この問題は非常に難しく,70年以上未解決な問題として残されています。この問題は難しすぎて私には手が出せませんが,これに関連した周辺の問題を研究しています。

研究領域:非線形偏微分方程式

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私は,非線形偏微分方程式(特に流体力学の基礎方程式)を関数解析や調和解析学を用いて研究しています。偏微分方程式とは,未知関数とその偏導関数を含む方程式のことです。

例えば,熱伝導を記述する熱方程式: \[ \partial_t T(x,t)-\Delta T(x,t)=0, \] 波の運動を記述する波動方程式: \[ \partial_t^2 w(x,t)-\Delta w(x,t)=0, \] 量子力学であらわれるシュレディンガー方程式: \[ \partial_t \psi(x,t)-i\Delta \psi(x,t)=F(\psi,\bar \psi), \] 流体力学の基礎方程式であるNavier-Stokes方程式: \[ \left\{\begin{split} &\partial_t u-\Delta u +u\cdot \nabla u +\nabla p = f, \\ &\nabla \cdot u=0 \end{split} \right. \] など様々な方程式があります。多くの物理現象や社会現象は偏微分方程式によって記述され,偏微分方程式の数学的解析は自然科学全般で重要な役割を果たします。

右の写真のような水の流れは我々の生活の中で極めて身近なものですが,それを記述するNavier-Stokes方程式(の大域可解性)は,数学の超難問の一つです。Navier-Stokes方程式だけでなく,身近な現象を記述するいろいろな方程式があり,多くの未解決問題が存在しています。