活動報告

2024年 自主研究演習学習会②「健康の社会的決定要因とその対応」

7月9日に、京都大学の長谷田真帆先生を講師にお迎えして、教室配属の4年生を対象とした学習会を開催しました。

以下が、学生の感想抜粋です。

・患者さんに医療を提供する上で、健康の社会的決定要因を意識することが重要だということを、実際の症例から学ぶことができました。また、医療制度が個人や社会にとって有益なものであるために、医療者ができることは何かを考えることができ、とても貴重な講義でした。

・公費負担制度を利用可能な人のうち、半数近くもの人が制度を利用できていなかったことに驚きました。お金がないからという理由で本当に公費負担を必要としている人が諦めてしまうことはとてもつらいと思いました。しかし、今回のレクチャーで医療職の各職種が協働することでそうした問題も解決することができると学ばせていただきました。ありがとうございました。

・自主研究の一環で地域包括支援センターへの訪問がありケアマネージャーさんの話も聞いていたが実際医療の場でどのように活用されているのかイメージがあまりついていなかったので実例を聞いたことで地域包括支援センターやケアマネージャーさんと実際どのように連携、協力しているのか知れて良かった。スポーツ組織に参加していない人は要介護に至りやすい可能性があるという話もあり、人との繋がりは生涯を通してとても大切だと実感した。またお話を聞いて福祉や医療を平等に利用できるための制度があっても本人たちが活用できなければ意味がなく、患者さんに詳しく制度や利用方法についてしっかり説明する必要があると感じた。

・健康の社会的決定要因(SDH)のお話がメインでした。健康の責任はすべて本人にあるのかという問題をはじめに投げかけられたのですが、自分は生まれ育った環境や遺伝的背景を考えて全てを個人のせいにすることは出来ないと考えたため一部は患者さんのせいとは言えないと始め考えていました。しかし、授業を受けていく中でむしろ社会のほうに多くの原因があるのではないかとさえ思うようになりました。特に社会的不利によって生じる社会的環境の差は健康という表現型に大きな影響を与えており、例えば、友人などにどのくらいの頻度で会うことができる環境なのかなどが予後に影響を与えうるのだと知り、生活習慣だけにアプローチしていては真の健康には導けないのだと学びました。ずばり、今までに個人に介入していれば健康になると思われていたものがそれ単体へのアプローチでは厳しかったという事だったと思います。これを解決するのが社会的処方というもので、医師としてアドボカシーという考えのもと、必要だと思われる人の相談に乗り、つながりを作っていくことが求められます。これも医師に求められる仕事だと知り、その仕事の幅広さを知るとともに、その分野にまで手を広げて患者さんを助けられることをうれしく思いました。知識をきちんと身に着け、正しく使えるようにしていきたいと思います。