活動報告

2024年 第5回「地域医療」(医学科4年生)

6月12日の第5回目「地域医療」の授業では、SBCラジオ「里枝子の窓」パーソナリティーの広沢里枝子さんに「社会がつくる障害 社会がなくせる障害」と題して、障害の社会モデル、障害者差別解消法、合理的配慮の提供、四つのバリア(物理的・制度的・文化情報面・心)、ご自身が怪我を負った時に経験した差別的取り扱い、意思に反した異性介助の報告、についてお話しいただきました。また、瞽女唄「夢和讃」を歌唱いただきました。

以下が、学生の感想の抜粋です。

※障害があるから可哀想といった障がいのある人を遠ざけようといった感想ではなく、今の社会では様々なバリアがあるけれど、全ての人が過ごしやすいように、双方向で対話して変えていこうというという気持ちを持つことが大切だと感じた。また、何が必要かこの時どう感じているか、こんな時どういうことが困るのかは、個人個人で違うこともあるはずなので、自分が接していく一人一人と対話していくのが大切だと感じた。

※根本的に必要とされるのは、多くの人が自主的に、私が相手の立場だったら何を求めるだろう、という共感性を持つことなのだと思う。
未だにマイノリティの方たちが生きづらいと感じるのは、私たちの中の、自分が目の前にいる人と同じ立場だったら、と考える想像力がかけているからなのではないだろうか。
私たちの根本的な意識を変えるための取組として、今私に思い浮かぶのは教育の機会を増やす、というありきたりなものしかないが、それでもなお変わらない現状をこれから変えていくためには教育に変わる取り組みを行わなければならないのかもしれない。

※全盲の方の生の声を聞けたのはとても貴重な経験でした。広沢さんから聴ける話しは常に前を向いていて、絶望とは程遠い人だなと感じました。どんな状況でも屈することなく、その中でできることを考え、より良くしようと努力している広沢さんが言う「諦めないでください」は重みと強い説得力を感じました。これから医療に携わる身として、患者さんのしたいこと(目的)を聴いて、希望を持ってもらいそれに向かって少しでも近づけるように一緒になって懸命になることを忘れないでいきたいです。

※異性介助についてのお話がとても印象的でした。鹿教湯病院で、異性介助でも良いか広沢さんの意思を初めに聞いてくれたのが嬉しかったというお話をなさっていましたが、そんな当然聞くべきだと思うようなことも聞かれないまま異性介助が行われている現実があるんだなと衝撃を受けました。人手不足や体力の問題があるからといって、医療者側が異性介助を仕方ないものだと考えてしまうのは本当にあってはならないことだなと感じました。

※お話を聞いて、社会が障がいを生んでいるというのは本当にその通りだなと感じました。物理的なバリア・制度的なバリアなどを考えてみると、思い浮かぶバリアがたくさんあって、これらのバリアがなくなれば障がいがあってもなくても快適に暮らすことができるのになと思いました。また、病院での大変だった出来事についてお聞きして、医療者として将来私たち自身にもできることがたくさんあるなと感じました。前例がないから難しいなどと言うのではなく、こうすれば誰であっても受け入れられる、入院中もこんな工夫をすれば障がいのある患者さんも安心して治療・ケアを受けられるなどと、考えることがとても重要だと思いました。その際には、必ず当事者の声を聴くことも非常に大切だと痛感しました。

※社会が作る障害、バリアについて考えることができました。特に救急搬送から入院までのご体験は、情報バリアや制度的なバリア、心のバリアにおいてどれほど困難であっただろうと思います。病院はバリアフリーを実施しているようでいて、その実際は一部の物理的なバリアを解消しているに過ぎないのだと感じます。不便や我慢を強いられている立場の広沢さんのお話をお聞きしたことで。自分では気づけなかった視点に気がつくことができました。私達はこれから医師になっていく中で、診療の場面で様々な患者さんと接する機会が多くなります。どのような患者さんにおいても懇切丁寧にこれから行う検査や処置、その結果について説明することは大切なことです。広沢さん達が求めるような、自分に関する医療情報やサポートは当たり前の要求であると思いますし、それが全ての人に対するスタンダードな対応になれば、受入拒否も減り全ての患者さんが安心して医療を受けられるようになるのではと考えました。まずは私から、場面場面で声がけし説明することを忘れないようにしたいです。

※本日の授業では障碍者の方と健常の人の違いは多数派化少数派化の違いなだけなのではないかと考えさせられました。

※外から見てわかる障害の有無に関わらず、医療者としても人としても常に相手の立場に立って、相手は今同じ世界を共有できているのか、不安なことはないのか、それを助ける手立てはないか、考え続けることが大切だと思いました。

※最後の「バリアを考える」という課題で、広沢さんが話された「教育」というのは非常に重要だと思いました。小さいころからの教育というのは大きく影響していると思いますし、その「分離教育」をいかに撤廃できる環境を作り上げるかが、とても大切だと感じました。