活動報告

自主研究演習レクチャー④「医療者としての健康の社会的決定要因への対応」

当教室に配属(自主研究演習)の3年生6名を対象とした6月24日の4回目のレクチャーでは、京都大学大学院医学研究科の長谷田真帆先生に「医療者としての健康の社会的決定要因への対応」と題してお話いただきました。

以下が学生の感想の抜粋です。


・今回のレクチャーにおいて思ったことは、治療というのは実際のところは医師が診察をして診断を下し医療行為を行うという一連の流れを指すことではあるのですが、講義的には行政や企業の行う健康対策も治療と考えられるのかなということでした。今回のお話は予防医療よりもさらに前段階にあるような社会的なものと健康との関連のお話で、今までの講義とはまた毛色がことなっており、とても楽しく聞くことができました。


・健康の決定要因は肉体的なものだけではないとは分かっていましたが、社会的な要因についてここまで掘り下げて考えたのは初めてでした。社会的環境にアプローチするという先生のお考えに共感すると同時に、医師の経験からそれをテーマとして研究の道に進まれた先生の向上心に感銘を受けました。患者さんの社会的背景にまで目を向けられる医師になりたいです。


・この地域医療推進学での実習を行ってきた中で、社会的孤立といった要因は健康に影響を及ぼすということはイメージすることができていたが、今回の講義の中で人生の中で早期の段階にある教育歴の長さといった要因が認知症のリスク要因に関わっていることを知り、人生の早期の段階から将来の健康状態が決まる可能性があるという事実に驚いた。また、地域の「つながり」が健康に良い効果をもたらす仕組みということで、一つ目に習慣や行動、情報の伝播、二つ目に規範が作られ、互いに見張り合う、三つ目に地域全体が一つの組織体として機能しているといったことが挙げられていた。これらの仕組みは、自分も実習を行ってきた中で、田舎などでは昔ながらの人々の関わり合いを通して実際に存在していることを実感していたが、都会ではどのように行われているのか気になった。先生はこれに対して、大都市では大きな区分でのつながりは難しいが、さらに区分化して見ると、図書館や銭湯、寺社等を中心としてそういった関わり合いができているとおっしゃられていた。たしかに自分も東京に行った際によく銭湯を利用するが、その月にある催し事のカレンダーや、よく利用するお客さん同士のコミュニケーションや番台さんとのやりとりをよく見るなと思い、そういったものが田舎の自分が実際に見てきた田舎での関わり合いに代わるものだと思い、案外身近なところに健康を形作る要因があるのだと思った。


・健康への社会的な要因について、その格差に着目して健康増進を考えると言う視点が初めてで新鮮だった。健康格差に対し、リスクへの接触を減らすなど、医師だけでなく他の職種や分野の人とも連携することが大切だと思った。また、地域での呼びかけや関わりも非常に大切だと分かった。医療では地域での関わりなど小さい部分からしっかり行うことが重要だと感じた。