活動報告

第4回『深志課題探究ゼミ2021』をオンラインで開催しました。

第4回目の松本深志高校1年生を対象とした『深志課題探究ゼミ2021』を12月11日(土)にオンラインで開催しました。松本深志高校から40名、信州大学医学部医学科地域枠1、2年生25名が参加しました。

テーマ:緩和医療
講師:国立病院機構信州上田医療センター緩和ケア内科 村上真基 先生

講演の後、終末期の患者さんに家族として何ができるか、点滴をするか、についてグループに分かれて話し合いました。

以下が感想の抜粋です。

*緩和ケアにおいて、家族は緩和ケアを提供する立場でもあり、緩和ケアを受ける立場でもあるという位置づけを初めて知った。また、緩和ケアは終末期に受ける医療だと思っていたので、診断時や治療中も緩和ケアを受けられるという話が印象に残った。本人への告知の目的や条件はあまり知られていないことだと思うので、勉強になった。


*延命治療の希望や余命宣告の希望とともに、献体や臓器提供なども同じように本人と家族の立場で意見が変わることが興味深いとともに、そこの差が人間らしさを表してるような感じがした。


*医療は、命を救ったり、病気を治したりすることだけだと思っていたが、治療していく中での苦痛を和らげたり、終末期のケアをしたりすることも医療の一つだということを学んだ。また、それをすることが看護師だけでなく、医師、薬剤師など、様々な人が関わるということを知り、救命のチーム医療と同じことなのだなと思った。


*死について考えることはとても重いことだと思った。しかし、いつ実際に直面するかわからないので考えてみるという経験は大事だと思った。また、家族と常日頃からなんでも話せる関係になっておくことで相手の考え方、価値観をなんとなくでも共有し、いざという時にも相手を尊重したりきちんと意見を聞けるようになるのではないかと思った。


*緩和ケアにおいて死というものへの考え方は医療の敗北ではなく患者さんにとって目指す生き方であることを学ぶことができました。新たな視点で医療について考えるきっかけになりました。


*緩和医療は難しい話だと思いました。最後の締めのところで模範解答としては患者さんの意向を聞くとありました。いろいろなことを考えましたが結局それが1番だなと思いました。


*「死」との向き合い方について、今まではいつかは来てしまう怖いもの、と捉えていましたが、家族の死や自分の死は決して避けることのできないものであり、今回の講義を通して捉え方が少し変化したので、将来医者を目指しているので、今日学んだことをそこで生かすことができればと思いました。


*緩和ケアにおいて、思ったよりも条件づけなどのマニュアル(?)が確立していたことが驚きでした。しかしやはり明確な答えがない問も多く、疾患や患者や家族の考え方、関係性に大きく左右されることばかりで、ケースバイケースなのかなと思います。医療者になるうえで、家族の目線、というものを丁寧に考えていけるようになりたいです。


*患者さんの意志を尊重して考えていくことや生活を維持していくためにできることをしていくのが大切だと思った。特に印象に残った言葉は「できなかったこととしなかったことは違う」です。自分の家族が終末期が近くなってしまったときに自分のできることを探し、実践して行きたいです。


*私よりも高校生の皆さんの方が、意見に家族の気持ちをよく反映していて、参考になった。医師に近づいていくと、段々と一般の人との間で価値観の差が出てしまうということを実感し、この感覚を忘れないようにしたいと思った。


*終末期の患者さんに対して家族ができることとしては、患者さん自身の意見を尊重し、患者さんが悔いのない人生の終わり方をさせてあげること、そして、患者さんのそばに一緒にいて、寄り添うことがとても大切なのだということを学んだ。医師でも、患者さんに寄り添うことは難しく、本当に寄り添うことができるのは、やはり家族しかいないのだと思った。


*胃癌の根治治療は手術以外ではほぼ(?)不可能であるということを授業で知り、なぜあの時祖父に緩和ケアを勧めなかったのかという後悔の念が強く湧いてくるようになりました。 先生から「本当の意味で患者に寄り添うことができるのは家族だけ」という話がありましたが、私は家族の立場としても、将来医療関係者になる身としても、祖父のために最善の道を選択できていたとは思えません。最期を迎える家族のために何をすべきなのか、今現在でも明確な答えは定まっていませんし、明確な答えなどはなく生涯考え続けなければいけないことはわかっていますが、今回の講演は、こういったことについて考えるための良い材料になったと思います。