活動報告

自主研究演習レクチャー⑤

自主研究演習でのレクチャー⑤

7月2日(金)に「医療者としての健康の社会的決定要因への対応」と題して、 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野 長谷田真帆 先生にオンラインでレクチャーいただきました。


感想抜粋:


・これからの医療の問題を考えたときに、いかに健康寿命を伸ばすか、介護される人を減らすかということがとても重要だと思います。その問題を解決するために、さまざまな自治体が工夫し、大学の先生を呼んで生活習慣病についての講義を開いたり、保健師による介護予防体操などを行っていました。私はそれらの活動に参加させていただいたときに、多くの高齢者が積極的に話を聞いたり意見を出したりしているのを見て、とても素晴らしい活動だと思いました。


しかし今日先生のご講義を聞いて、健康格差という面でみると、健康に興味があって社交性のある人たちはどんどん意識も高まって健康になっていき、逆に本当に支援したい閉じこもりがちな高齢者との格差が広まってしまうのではという視点を学びました。またどんなに素晴らしい計画でもマイナスの面は必ずあるので、ひとつの事業を考えるときに、様々な側面から分析していかなければならないなと思いました。そのためには、やはりデータをしっかりとって細かく評価していくこと、また医療だけでなく社会や経済についての知識を持つことが大切だと思いました。さらに医療者が社会について学ぶことはもちろん、行政も医療について少し学ぶことで、お互いの連携がとりやすくなるのではと思いました。


・健康には、個人レベルの要因だけでなく、家族や地域社会、さらには国家など、社会的要因が関わってくる。この社会的決定要因(SDH)の差が健康格差を生み出し、これに対し、社会的弱者や、健康に無関心な人など、様々なパターンを考慮した健康格差縮小への取り組みが行われている。今回の講義でも、地域のつながりは健康の重要なファクターであるという説明があり、今の日本で薄れかけてきている、他人との繋がりの構築が必要であることがわかった。これは地域の中の1人として作り上げることは困難だと考えられるので、医師のような影響力のある人間が、社会的処方の一環として行っていくのがベストではないかと考えた。


・健康は自己責任だけではないということは漠然と感じていても具体的にそうではない理由を述べることが出来なかったのが自分なりに説明できるようになったと思います。社会的要因というと、私は健康に関する知識の教育に目が行きがちでしたが、それらの情報は既に健康に関心がある層ほど受け取ってもらいやすく、それだけでは健康格差を縮めることが出来ないことが分かりました。貧困層向けの支援をいくつか耳にする機会がありますが、貧困層の人々がそれらの支援を受け取りやすくするための工夫も必要なのだと学びました。