活動報告

第3回「地域医療」(医学科3年生)講義

4月18日の第3回「地域医療」授業では、諏訪中央病院内科総合診療部の佐藤泰吾先生を講師にお迎えしお話しいただきました。

以下が学生の感想の抜粋です。

・先生はとてもお話が上手だし、言葉に力があって、何か肉迫してくるような説得力があった
それは先生自身が修羅場を超えてきた経験、多様な知的好奇心をべ-スにした教養、その2つの太い柱に立脚しているからだと思いました
松村理司、ティアニ-・ロ-レンス、山極寿一、中井久夫など、自分の関心を持って秘かに私淑してきた人達の名前が出てきただけで、ああこの先生の言葉が、理屈を超えて生理的なレベルで体内に響いてくるのは、こういう理由があるのだと思った

・「総合性とは目指すものではなく結果」という考え方が総合診療にとてもしっくりくるものだった

・問題の山積した辺縁からしか見えない「境界」があり、その問題が境界にまずは気づけるようになることが大切なのだということに、地域医療に対するイメ-ジが変わって興味をもちました
今までは「地域医療」というと狭い空間にとじこめられるようなイメージをもっていましたが、それを成長に必要な課程であるととらえることで、新しいものを生みだしていく医療なのかもしれないと感じるようになりました

・"unlearn"という言葉の"学びほぐす"という意味が印象に残った。まさに今医学部で学んでいることは自分の力で腑に落ちてはおらず、よく分からないままインプットしている状態であると感じている
これから実習で病院に出て、また医師として現場で働くようになった時、今学んでいることが、自分なりに腑に落ちたならば、この"unlearn"という言葉を思い出したいと思った

・成長曲線、その時々の成長度合いか積み重ねの度合いか分からないが、前者であるなら先生と同じように常に、最後までずっと横一線である気がする。医師になってから死ぬまで常に同じだけ成長できる場面があり、ずっと成長していかなければならないだろうと思う
「雇用を守る」という視点がとても興味深く、自分もそのような視点が持てるようになりたいと思った

・地域医療の講義では、患者さんとの関わりが多く取り上げられるが、今回の講義では人間とは何なのかなど、本質的な話を聞くことができて新鮮だった。教育の観点から医療の話を考えるのは今までになかったので、よい経験になった

・医師として知識、技術、倫理観を身に付けることも大事ですが、社会の辺縁に立って様々な集団に所属しながら、今の自分のステ-タスを理解しながら、今の自分に何ができるのか、これから何を学びほぐしていくべきなのか、初期研修の中で学生の間に学習したことを理解していきたいです
正直なことを言うと、今回のお話の内容を曖昧にしか理解できていませんが、自分なりの視点から考えて、今の自分の土台としていけるように頑張りたいと思いました

・チームを作るときに、色々なレベルの人材を組み込むのは、人間の成長曲線は総和で生涯を通じて大きく変わることはなく、各々を見たときにそれぞれの人で十分なもの、足りていないものがあり、それをお互いに埋め合わせができるようにする必要があるからということについて一番チームの組み方として納得できる考え方だと思った

・社会学の"越境する知"と同じように、総合診療でも"総合的にみる"ことは目的ではなくて、患者さんの持つ問題が先にあり、それを解決するための"総合"なのだというのがとても納得した。きちんと自分に向きあわないと、手段と目的が混同して目指すべきものが分からなくなってしまうことがあるよなと思った

・地域医療の授業では業務の内容や地域医療の歴史を習うことが多かったが、今回の授業では「地域」だけでなく「医療」に何が必要なのかという医療全体に通じる話をして頂いて、新鮮だった

・私が大学を卒業して研修医になることを想像すると未熟な自分が何もできずに上の先生たちを恐れながらあたふたしている姿しか思い浮かばずとても不安に感じていたが、今日の講義を聞いて、未熟だからこそできることや発想があるのだなということを知り、その時点の自分のできることを一生懸命やればいいのだなと思い少し安心しました

・現代の医療では、1つ突出しているものがある事が大事だが、それに加えて他分野とも協力できるように裾野を広げておく事が重要で、未熟であるうちに、様々な新しい事をやることが重要

・医師としてこれから生きていくために、活力となる多くの言葉や、なにより姿勢を先生から感じ取れた

・自分が将来医師になって、人の役に立てるようになるのにはあと何十年必要なんだろう...と思っていましたが「後輩から学ぶことが多い。間違いない」という先生の言葉で、自分も研修医や若手のときでも、チ-ム医療の主要な一員になれるのかもしれないと思えました。無力さに悲観するばかりではなく、自分も先輩方の学びに必要な存在だという思いも忘れないようにしたいです

・「成長曲線が様々な面を考慮したら常に一定の高さとなる。得て、そして失う、それだけである」と聞いて、新しい考えにふれて、とてもおどろきました。そして、確かにそうかもしれないと感じました
自分の力は常に成長しているところも、失ってしまっているところも、波があることもあって、それを分かった上で、日々精神しなければいけないと感じました

・「unlearn:学びほぐす」という言葉が一番心に残りました。そこで"learn"したことを後の人生でふとした瞬間に"unlearn"することができるかということは"learn"したときにはわからなくても、その経験が自分のためになっているということなのだと思いました

・未熟だからダメ、役に立たないのではなく、それぞれの立場、やり方で力を合わせることに意味があるということ。1人1人が、今はまだ持っていないもの、獲得したもの、失ってしまったものを補い合うことでチ-ムが完成するということで、学生や研修医であってもその時に自分ができる最大の力を尽くしたいと思った