活動報告

「第33回地域医療推進学講座セミナー」が開催されました

昨日9月10日に、日下隼人先生を講師にお迎えしてのセミナーを開催しました。以下がご講演の内容です。

◎患者さんには医療者の言葉が耳に入らない
・コミュニケ―ションの過程の、発信者・記号(言葉、非言語)・受信者のそれぞれの所で食い違いが生まれて当たり前
・患者さんは自分の枠組みでしか説明を聞いていない。そして色々な事を必死に考えている。このため正確に医療者の言葉を受け入れる余地はわずか。このため医療者は、患者さんにやる気がない、理解力が低いと考えがち。
・説明の時など。患者さんが落ち着いている、よくわかっている、受容できている、病気だが明るい、と思えても、患者さんには自分らしさを保つため、自分を取り繕うための心の防衛が起きていることもある。
・患者さんは、期待していた言葉しか耳に入らないで、都合よく聞いてしまうことがある。
・患者さんは話したいことがあっても、言いたいことの万分の一も言っていないことが多い。
・言葉を交わすことによる交際、すなわち雑談も大事
・医療者が質問などを受けた時には、言葉に応えるだけでなく、その言葉が生まれている心・感情に応える必要がある。

◎医療者の態度が言葉を聞こえなくする
・患者さんの居るところは、医療者の仕事で勝負する晴れの舞台である。晴れの舞台にふさわしい態度が求められる(服装、歩き方、私語において)。
・患者さんは、社会人としての常識・基本的マナーのできていない人から尊重されているとは思わない。特に、医師においては、身だしなみ・ドレスコードはかなりいい加減、日常の挨拶、お礼、お詫びが出来ない、時間と約束を守らない。
・見下ろすような態度(腕組み、足を組む、貧乏ゆすり、ふんぞり返りなど)は、すべてしてはいけない態度である。
・電子カルテ、端末ばかり見ることで、多くの大事なことが見落とされる。

◎患者さんは
・医療者に悪く思われたくないために、我慢を強いられている。そして思いは常にアンビバレント。
・笑顔で、敬語で話して苦情も言わずに帰って行ったとしても、心に不満がないとは限らない。
・敬意を払われて不愉快な人はいない。敬語を使っての会話は決してよそよそしいものではない。
・医療者には些細な事でも患者さんにとっては深刻な問題もある。
・患者さんは、いつも孤独で、不安で、無念で、悔しい。そこに医療者の思いのない言葉、偉そうな態度が追い打ちをかける。