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教授挨拶

信州大学医学部病理組織学教室 菅野祐幸教授

信州大学医学部病理組織学教室のホームページにようこそ。着任早々の研究棟の耐震改修工事を経て、器と人が揃い、ようやく教室の体制が整いました。

現在の病理学には課題が山積しています。従来病理学の大要とされてきた剖検診断では、外科腫瘍病理診断の比重が増す中で臨床の疑問に的確に応えることのできる力量の低下が否めません。医療関連死の検証体制の整備が進む中、その中核になる剖検診断のレベルアップのため剖検診断研修の充実が求められています。患者さんの予後に関わる外科病理診断の重要性は論を待ちませんが、疾患の本質の理解が不充分なままでの病理診断には限界がつきまといます。私が病理学教室の門をたたいた頃と比べて足腰が弱くなった感が否めない病理学研究の充実を図り、疾患全体を俯瞰する視点を持つ病理医の育成が必要です。

分子生物学、オーム解析、遺伝子改変動物などの研究手法の発展が著しい現在、医学研究における病理学の役割に思いを馳せることがあります。ポストゲノムの時代、遺伝情報だけでは規定されない病因・病態へのアプローチを続ける病理学であるべきで、最新の生物学との接点を強く意識し続けることが必要であろうと思います。そして、そうした姿勢のある限り、如何なる分野の研究においても、その足場を構築出来るだけのプラットフォームを整備・提供することがこうした時代に病理学教室を預かることとなった自分の責任と考えています。

分野を問うことなく、病因・病態にアプローチしたいという強い熱意を持つ人たちが集ってくれることを希望します。ともに考え試行錯誤し、疾患を見つめる自らの視点を大切にしながら、自然に囲まれたこの信州で一緒に病理学をやりましょう。

信州大学教授医学部病理組織学教室 菅野祐幸