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信毎まちなかプロジェクト×信大「哲学カフェ」のご案内

哲学・思想論分野と信毎まちなかプロジェクトとの共催企画として、下記の要領で「哲学カフェ松本版」を開催します。関心をお持ちのみなさまの幅広い参加をお待ちしています。


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日 時:平成27年9月26日(土)14:30~17:45
場 所:まつもと市民芸術館スタジオ2
参加費:500円 ※飲み物・菓子、ビール(別料金)のご用意があります。
参加条件:なし(哲学の知識がなくても問題ありません)
主 催:哲学カフェ実行委員会
申込み方法:要予約(先着30名)。9月23日締め切り。
お名前とお電話番号を明記の上、メールまたはファックスにてお申込みください。
【メール】cafephilomatsumoto@outlook.com
【ファクス】0263-26-8730(信毎松本本社総務部)
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哲学カフェってなに? ――講師からのメッセージ

 「幸せになりたいと思ったことはありません――」


 大阪の釜ヶ崎(通称「あいりん地区」)で、「幸福」をテーマに「哲学カフェ」が開かれたとき、参加者の一人からこんな発言がなされたそうです。

(*鷲田清一監修/カフェフィロ編『哲学カフェのつくりかた』大阪大学出版会)


 「みずからの過去をほじくりかえす」ことになってしまうこんなもの言いで始まり、その言葉を皮切りに、みながみな、うそ偽りのない、自分自身の言葉だけを頼りに「幸福」についてとことんまで考え抜いてみる濃密な対話の空間。


 「哲学カフェってなに?」と聞かれたら、さしあたりはそんな答え方をしておきたいと思います。


 「本当の幸せってなに?」 そんな、素朴ではあるけれど誰もが一度は引っかかったことがあるはずの疑問。


 あるいは、「わたしのような人間に幸福になる資格などあるのだろうか?」といった、壮絶な内的葛藤を伴いつつ腹の底から絞り出される痛切な問い。


 あるいは、それら一連の問いに対して発せられる、「ちょっと待って、原発なり安保なり、もっと先に考えたり行動したりするべきことがあるはずでしょう。いまは「幸福の資格がどうの」なんてのんきな話をしてる場合じゃないと思う」というもっともではあるけれども辛辣な批判。


 ふだんなら、ふと心に浮かぶことがあっても「どうせだれも聞いてくんないだろうな」という諦めのため息といっしょに消え去るか、他者にむかって語りだされることがあっても「まあまあ、そのうちいいことあるから」なんて優しさに満ちたごまかしの裏側でうやむやにされてしまう、そんな大切だったはずの数々の言葉たち。


 そんな言葉たちを拾い集め、みなで考えあってみるための時間。


 「大学の教室で一部の変わったひとたちがやっているなんだか小難しい哲学の話」ではなく、みながみな、自分なりの生きた言葉で「答えなんか出るはずのない問題」に対するうそ偽りのない言葉を探りあてていくための場所。


 新しい知識が得られるわけでもないし、明日からすぐに役立つアドバイスが手に入るわけでもない。でも、そのかわり、そのなんでもない場所での対話をきっかけに、あたりまえだったはずの毎日の暮らしが「問い」と「驚き」に満ちた空間にかわり、そして「思考」が促されるそのぶんだけ世界が広がり、輝きを増す。


 「Philosophy to the People/人々の手に哲学を」。日本における哲学カフェ運動の先駆者である鷲田清一さんのそんな言葉とともに、「哲学カフェ」の松本版をみなさんにお届けしてみたいと思っています。


三谷尚澄(信州大学人文学部 准教授)

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