2011年度文化社会学ゼミ合宿

島と柳井港とを結ぶ定期船「いわい」

 2011年9月18日から20日まで、文化社会学ゼミの学生と祐成先生、滋賀県立大学人間文化学部の武田俊輔先生、武田ゼミの学生合わせて13名で山口県上関町にある祝島へ行ってきました。  今年度、文化社会学ゼミでは「社会運動の社会学」というテーマで様々な文献を読んできました。今回の合宿は、原子力発電所建設反対のデモが毎週行われるという祝島へ実際に訪れる、とても貴重な機会となりました。

練り塀

 祝島は人口約500人の集落です。祝島に降り立つと島の人達が気さくに声をかけてくれて温かく迎えてくれました。島から見る瀬戸の景色は青く澄んでいて疲れを癒し、昔ながらの生活道や石積みの練り塀は古くから続く島の文化を肌で感じさせてくれました。  食事は、にがりではなく海水で固めた石豆腐やびわの葉で作ったびわ茶がおいしかったです。祝島は魚もとてもおいしい!とのことでしたが今回の合宿では雨が続き、魚を食べることが出来ませんでした…。祝島では他にもひじきや甲イカ、みかんなどが特産物です。

島から見た上関原発建設予定地

 祝島には4年に一度、「神舞(かんまい)」と呼ばれるお祭りが行われます。伝承によると1100年以上前に大分県からの船が嵐で難破し祝島に漂流したところ島の人が手厚くもてなしたことがきっかけとされます。次回の開催は2012年、つまり今年。お祭りの日は島の出身者や観光客でたいへんなにぎわいになるそうです。  はじめにお話を聞かせてくださったのは、この神舞を取り仕切るHさんでした。まず、島の風土や文化について、懇切丁寧に教えていただきました。祝島で、島のすぐそばに上関原発を建設する話が持ち上がったのは、今から30年ほど前のことです。建設問題で反対する人と賛成する人の対立の中で交流が無くなってしまったこと、島外から来る建設関係者への抗議にまつわるお話などをうかがいました。  そして農場を営みながら、メディアで積極的に原発反対の主張を展開しているUさんは、島民が営んできた生活そのものが「豊か」であり、原子力発電所建設がもたらす金銭的な利益は島には必要ないとおっしゃっていました。島民の価値観と、原子力発電所を建設しようとする人たちの価値観の違いを強調されていました。お聞きしている中で、私たちもドキッとさせられることが何回もありました。本やテレビでは感じることのできない、直接聞く言葉の重みを感じさせられました。

 なお、私たちが訪れたのは、祝島を含む上関町の町長選挙が間近に迫った時期で、テレビの取材陣の姿をよく見かけました。原子力発電に対する関心が高まっていることから、この選挙も注目されていたようです。  3日間にわたる島での生活では、ゼミの教室では体験できない様々なことを味わいました。海岸沿いを自転車で走ったり、高台を散歩してみたり、島の自然と触れ合うこともできました。今回のゼミ合宿は滋賀県立大学の人たちとの共同合宿でしたが、他大学の人から見た祝島への考えも知ることができて、自分の視野が広がったような気がします。(3年 島袋 昌大)

ページの先頭へもどる