卒業論文題目

2010年度提出の卒業論文

2010年度卒業論文

当分野では、2010年度ドイツ語学研究で3本、ドイツ文学研究で1本、計4本の卒業論文が提出されました。卒業論文のタイトルと内容を簡単にご紹介します。 ① ドイツ語の否定要素を含む疑問文について "Haben Sie kein Ticket?(切符を持っていないのですか?)"と尋ねれたら、"Ja, ich habe kein Ticket.(はい、持っていません)"と日本人ならついつい答えてしまう。「カードをお持ちではないんですね?」と尋ねられたら、ドイツ人はどう答えればいいのか…。こうした素朴な疑問から出発し、実際の使用例を分析することにより、否定要素を含む疑問文が使用される状況、表現形式、発話意図などの特徴がまとめられています。 ② ドイツ言語文化圏における外国人作家と作品  -シリア系ドイツ人作家ラフィク・シャミ『夜の語り部』への考察- 1960年代から外国人労働者を積極的に受け入れてきたドイツでは、同時に、政治的亡命者なども受け入れてきました。そんな「移民」である彼らの生活において、最も障害となったのは、何よりも「ことば」でしたが、それゆえ、彼らによって新しく構築されたジャンルが「移民文学」です。ドイツ文学界における移民文学の受容とドイツにおける移民の社会的環境を踏まえた上で、シリア系ドイツ人作家ラフィク・シャミ『夜の語り部』の作品分析によって、ドイツに住む外国人が母語ではなく、ドイツ語で文学を創作することの意義について論じられています。 ③ 接頭辞を伴う複合動詞について-be動詞の実証的分析- ドイツ語には非分離動詞と呼ばれる動詞があります。造語法研究では、接頭辞派生動詞として扱われていますが、例えば、bekommen(受け取る、もらう)はkommen(来る)の語頭にbe-という接辞がつけられ派生した動詞です。この二つの動詞は、それぞれ全く異なった意味を表していますが、時折、派生動詞とその元になっている基礎動詞の間に意味の相違が、「beantworten(答える)- antworten(答える)」のように明確ではない場合があります。意味の相違がないのに、なぜ新しい動詞が生成されているのか、その存在意義は何なのか…豊富な用例を基に独自の視点から結論が出されています。 ④ 『グリム童話』を追う   -赤ずきんを襲う獣はなぜ狼でなければならなかったのか 世界中でよくしられている『グリム童話』のひとつ「赤ずきんちゃん(Rotkaepchen)」は、おばあさんのお見舞いにでかけ、森で狼に出会います。森でオオカミ?なぜクマではないのか?キツネではないのか?―北欧神話、ゲルマン神話そしてキリスト教の文化的背景における「狼」の役割を探りながら、この問いに対する独自の「答え」が述べられています。

2010年度以前の卒業論文題目

2009年度、2008年度に提出された卒業論文の題目を以下にご紹介します。 2009年度卒業論文題目 ドイツ語と日本語におけることわざの比較 ドイツ語における動物をテーマとした慣用句について ドイツにおける環境保護 ミヒャエル・エンデの作品研究-「時間」とは何か- 2008年度卒業論文題目 ドイツ人と色-ドイツ語を例に、ヨーロッパの色彩観を読み解く- ドイツ中世文学におけるminneについて ドイツ語における語彙の歴史的変遷-借用語を中心に- ドイツ語における姓名の歴史的、地域的考察 ヘルマン・ヘッセの作品研究-『デーミアン』- アルトゥール・シュニッツラーの戯曲について-登場人物を通してみる作者の女性観-

ページの先頭へもどる