フランス文学分野の教育方針と内容

ほとんどの学生にとってフランス語は大学に入ってから初めて学ぶ言葉なので,1~2年次のときは主に基礎的なフランス語の習得に重点を置き,フランス語の 文法,発音,読み,聞き取り,会話などを中心にフランス語の基礎的運用能力と読解力を身につけてもらいます。これらの能力は共通教育科目の「フランス語 (文法)」,「フランス語(読解・会話)」などの人文学部の1年生対象の外国語科目や2年生対象の「フランス語演習」,そして専門科目の「フランス語コ ミュニケーション初・中級」などの授業で習得していきます。それと同時にフランス文学の基礎知識を「フランス言語文化概論」や,あるいは「フランス文化事 情」などの入門的・概説的授業をとおして学んでいきます。
3年次は主に文学作品をテクストにして,文学研究やテクスト解釈の方法について学び,2年次までに身につけたフランス語の基礎力をさらに深め,のばして いきます。詩の朗読やシャンソン,演劇や映画のせりふ,あるいは小説の読解などを「フランス文学演習」「フランス言語文化演習」,「フランス言語文化特 論」などの授業をつうじて学んでいきます。また,1~2年次に養ったフランス語の基礎的運用能力をさらに「フランス語コミュニケーション上級」などの授業 でのばしていきます。2009年度後期からはフランス人の非常勤講師による「フランス言語文化特論」を開講する予定です。
4年次には,それまでの学習をとおして見出した興味のあるテーマを自ら設定し,それを最終的に卒業論文に仕上げていきます。題目の選択は自由ですが,フ ランス文学からおおきくはずれるようなテーマの場合にはよりふさわしいテーマを相談の上決定していくこともあります(過去の卒業論文題目参照)。ほとんど の学生が日本語で論文を書きます。ただしレジュメ(論文の要旨)は全員フランス語で書かなければなりません。3年次に培った文学研究や作品解釈の方法,あ るいは課題探究能力や論理的思考法が卒論作成に最大限に活かされるよう,定期的に論文指導が2名の教員によって行われます。10月には卒論の中間発表が行 われ,プレゼンテーションの能力もためされます。
フランス文学分野は他の分野に比べると比較的少人数なので,うちとけた雰囲気の下で2名の教員によるきめこまかな指導体制をとっており,学生の興味に応 じた学習指導を行っています。定期的に課外活動としてグルメの会やALCF(Amicale: Langue et Culture francaise)「フランス言語文化愛好会」を行い,信洲のあちらこちらのフランスレストランを訪れたり,ワインとチーズでフランスの食文化を満喫し たり,フランス映画やシャンソン・フランセーズを鑑賞したりもしています。夏休みには白馬で合宿を行います。

[仏検受験の奨励と学術交流協定に基づく交換留学]
信洲大学人文学部は,毎年6月と11月の年2回行われる実用フランス語技能検定試験の試験場になっています。自分のフランス語力を試す上でも,フランス 語学・フランス文学の学生さんには積極的に仏検にチャレンジしてもらっています。「フランス語コミュニケーション初・中級」の授業は,仏検受験を視野にい れて展開されています。目標は,2年次の前期で5~4級合格,後期で4~3級合格,卒業までに準2級合格です。フランス留学を希望する学生には,2級合格 を目標に掲げています。なお,学術交流協定に基づいて派遣される交換留学生に応募するには,最低条件として仏検3級以上の合格が義務付けられています(で きれば準2級合格が望ましい)。現在,信州大学には,フランスのラ・ロッシェル大学,ベルギーのルーヴェン・カトリック大学,及びフランス語圏にあるモ ロッコのモハメッド5世大学の3大学との間に学術交流協定が締結されており,これに基づいて派遣留学制度が設けられています。これまでにルーヴェン・カト リック大学に1名,ラ・ロッシェル大学に6名の学生を派遣し,ラ・ロッシェル大学から1名の学生を受け入れています。協定校において取得した単位は,人文 学部の卒業単位として単位互換され認定されます。
その他,"Connaissance de France"や"Rencontre des Jeunes"というフランス外務省が資金援助をしてくれる制度があり,夏休み期間中に2週間フランスのいろいろな場所でいろいろな国の若者たちと交流し ながら研修することも可能です。2005年度はプロヴァンス地方に1名,2006年度にはフランス中部のオーリアックに1名派遣され研修してきました。
また11月には,毎年京都外国語大学でフランス語の弁論大会が催され,2005年度は1名,2008年度にも1名出場しました。上位8名くらいまでに入れば,いろいろな賞が与えられます。特賞はフランス研修旅行への招待です。
このように,在学中いろいろな形でフランス語やフランス文化に触れる機会がたくさん設けられており,一生懸命努力すれば,すばらしい人生が切り開かれることでしょう。

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