信州大学
文部科学省 社会システム改革と研究開発の一体的推進 採択事業
地域再生人材創出拠点の形成
信州・諏訪圏精密工業の活性化人材の養成
【現状】
諏訪圏はセイコーグループやオリンパスなど精密機械の大手企業を中心に集積してきた.諏訪圏の多くの中小企業は、精密加工・微細加工・部品加工の下請け企業が大半を占めている.
経済のグローバル化の中で、大手企業の生産拠点の海外シフトに対し、これらの中小企業は、精密機械工業で培われた精密・微細加工の高度な技術力を活かし、諏訪圏外からの広域受注化や金属製品・電気機器・輸送機械等への業態転換・多角化を進めて対応してきた。
諏訪圏域の工業出荷額は、バブル経済期よりは落ち込んでいるものの 、7千〜8千億円程度であり、製造業は約2000社ある。

【課題】
しかしながら、今後海外諸国の技術力の向上が見込まれるところ、諏訪圏域の中小企業が引き続き、製品を受注し続けていくためには、これらの中小企業においても、大手企業が行う研究開発に参画し、高度な新技術に基づく戦略的な製品開発をともに進めていく必要がある。
すなわち、提案型企業に変革していく必要がある。このためには、これまでの加工技術のみでなく、企業戦略を立て、研究開発のできる高度な知識・技術を習得した優秀な人材が求められる。

                        
諏訪圏域内の企業で働いている人材を、先端的な基盤技術と経営能力を修得し、独自性の高い先端技術を開発あるいは企画・提案できる「戦略的開発技術者」に養成する必要がある.


【今後の技術開発】
今後、諏訪圏域が目指す産業集積は、これまでの基盤技術産業集積の更なる厚みと高度化を目指すものである。
具体的には今後、諏訪圏域で目指す新産業はスマートデバイス(MEMS等)など優位性のある技術であると考えられる。
スマートデバイスでは「精密機械のエレクトロニクス化」により、加工のみではなく電気・電子、化学等の周辺技術の専門知識が必要となる。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)とは電気と機械を融合した超小型システムで、半導体(LSI)の製造技術を応用した微細加工技術である。微細加工・組み合わせ技術の集大成で、世の中のあらゆる分野の既存製品の超小型化に貢献するため、潜在的に応用可能な製品は無数にあると言われる。
例えば、プロジェクタの光学素子の一種、インクジェットプリンタのヘッド部にある微小ノズル、圧力センサー、加速度センサー、流量センサー、各種のセンサーが挙げられる、今後、製造業はもとより、医療分野などでも応用が期待されている。

(財)マイクロマシンセンターの市場予測結果では、2005年の国内MEMS関連市場は約4,400億円であり、2010年の市場は1兆1,700億円、2015年の市場は2兆4,000億円と予測された。
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