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第9回AIジェネラル基礎ゼミが行われました

AIジェネラル基礎ゼミ

第9回 「AIとロボット」(2021年12月1日)

信州大学社会基盤研究所 教授 山崎 公俊

第5回目の講義は、山崎公俊先生による特別講義が行われました。

1.AI技術・ロボット技術について
まず初めに山崎先生は、AIの研究領域が、人間の知的能力のコンピュータ上での実現
を図るものと位置付けた上で、AI技術の革新の流れや、これまで林憲一特任教授が説
明されていた深層学習との関連での構造上の革新について詳しく説明されました。
続けて、本講義のテーマである「ロボット」について、「人の代わりになんらかの作業
を行う装置もしくは機械」と定義した上で、ロボット工学・研究の歴史を具体的な出
来事を挙げつつ解説されました。

2.ロボティクスにおける知能システムの構成方法
次に山崎先生は、AI(人工知能)領域との関係でのロボット技術につき、次のように
お話されました。知能とは、論理的に考える、計画を立てる、問題を解決する、抽象
的に考えるなど、様々知的活動を含む心の特性であり、ロボット工学上特に前三者が
重要と言える。既に、AI技術はロボットの脳のような役割を果たしているのであり、
例えば、ボードゲーム名人を破るといった例のようにその進歩は目覚ましい。もっと
も、我々が求めているのはこのような一点突出的な能力ではなく、万遍なく相応
の対応ができる、バランスのいい能力であって、その実現にあたっては「システム」
の考慮が不可欠となる。「システム」とは、個々の要素が相互に影響しあいながら,全体として機能する仕組みであって、例えば、部屋を片付ける能力を備えたロボットを作るにしても、システム上、知能(AI)やハード面に関し多数の段階的な能力を必要とするのであり、それぞれの能力が制御工学や物体認識、運動学等の分野を構成する。

3.ロボティクスにおけるAI技術の活用
山崎先生は、ロボットにとって難しい作業の一つとして「モデル化しにくい作業」を
挙げます。布製品や食材等を対象とした作業は、作業中にその見た目や形が変化する
ため、モデル化しにくい作業の一例であるとお話されました。
 続けて山崎先生は、モデル化しにくい作業の実現に関する複数の研究例を挙げまし
た。その中の1つである、「布製品の折り畳み方法の獲得」につき次のように解説さ
れます。作業中にその形が変わる布製品の折り畳みを実現するには、多くのデータ収
集を必要とするが、実ロボットにおける収集の負荷は大きい。その負担を緩和する
1つの方法として、仮想世界を現実世界に近づけ、仮想世界上で布の動きに関する物
理的シミュレーションを一致させ、データ収集を行った。結果として、およそ事前の
シミュレーション通りの折り畳みの実行ができたが、一方で、折り畳み回数が増すこと
で、布の厚みが増し、シミュレーションとのずれが大きくなるため、正確な実行が困
難となることもわかった。

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