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第8回AIジェネラル基礎ゼミが行われました

AIジェネラル基礎ゼミ

第8回 「AIとスタートアップ」(2021年11月24日)

東京大学 FoundX ディレクター 馬田隆明

 第8回講義では、馬田隆明先生による特別講義が行われました。今後のAI事業の進
展を目指すにあたり、関わりの深い場面である「スタートアップ」について、起業家
として何をすべきか、何が重要となるかをお話されました。

1.スタートアップとは何か
 まず初めに、馬田先生は、スタートアップの基本的要素について次のように説明さ
れました。スタートアップは短期間に急成長(数年で数百倍の成長を目指す)するよ
う設計された会社であり、急成長するために、様々な面でスモールビジネスと異なる
設計がされている。その急成長の鍵は、「不確実性」に賭けるところにあり、市場、顧客、技術の急激な変化がその不確実性を引き起こし、それを機会として生かす。もっとも、不確実故にほとんどのスタートアップは失敗に終わる事もまた事実である。以上に続けて馬田先生は、不確実のリスクを取っているスタートアップに投資するVCという投資家がいることを指摘し、その仕組みにつき詳しく解説されました。

2.スタートアップ特有の考え方
 次に、馬田先生はスタートアップと他のビジネスとの違いについて次のように説明
されました。スタートアップにおける違いの特徴は、「極めて反直感的」である処に
あり、例えば①アイデア②選定する市場③資金調達の3つの場面において、その特徴が表
れている。①では、「一見して悪く見えるが、実はいいアイデア」を狙うことが重要
であり、ここに反直感性がある。企業家として、適切なアイデアの判別をし、正しい
逆張りをすることが求められる。②の市場につきスタートアップが狙うのは、今はま
だない市場かつ変化の大きな市場であり、ここに反直感的性質がある。そして③につ
き、初期費用の確保手段である出資での投資には、リターン計算に特徴があり、スタートアップでは、成功率よりも投資成功時の利益の大きさを重視する。

3.良い課題を選ぶ
 馬田先生は、「ビジネスでは問題発見が大事であり、ピッチも課題が大事」と言われる
理由として、課題解決時に生じる価値の大きさが、課題の大きさによって(ほぼ)決まると
ころにあると説明されました。続けて、価値と課題と解決策の関係性につき図を用い
た解説を踏まえた上で、課題の大きさが価値の最大値を決めるとし、課題の重要性を
指摘されました。
 そして、スタートアップを行う上で、起業家は良い課題を選ぶことと、高い解決度を
達成することの双方を行うこととなり、選択の幅が広くなるに加えて、その責任も重
くなるとして、ピッチにおける課題選択・検証の重要性につき、再度言及されまし
た。

4.スケールしないことをしよう
 最後に馬田先生は、スタートアップ初期の場面ですべきことについて、最速で最大
の学びを得ることと、ファンの獲得を図るべく、「スケールしないこと」、より具体的に言
えば、スケールしないことをしながら、週次の成長を追い続けることをすべきであ
る、とお話されました。その上で、スケールしないことは「仮説生成&検証」「ユー
ザー獲得」「サービス提供」「開発」に効果的とし、それぞれにつき、具体的な企業
の例をあげつつ、詳しく説明されました。

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