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第7回ライフクリエイター入門演習が行われました。

ライフクリエイター入門演習

第7回 「現代AIの仕組み(1)」(2021年6月2日)

信州大学社会基盤研究所 特任教授 林憲一

第7回の講義では第三次AIブームの中核技術である機械学習とその一分野であるディープラーニングの始まりを紹介しました。これまでのAIとの仕組みの違いを確認し、ブームが起こった背景やこれからの展望を話しました。

1.第三次AIブームのはじまり

2010年に始まった国際的な画像認識のコンペにおいて、2012年に、初めてディープラーニングを使ったコンピュータのエラー率が16.4%を記録し、これまでの25%前後を大きく下回った。以降、エラー率は年々減少し、2015年には約5%となり、「人間の目を超えた」と称された。2016年3月にはAI「AlphaGo」が囲碁で世界チャンピョンを破るという出来事があり、一般の人々にもAIの進歩が知れ渡るようになった。

2.画像認識の仕組み

人は何かを識別するとき、その物の特徴をつかみ、判断している。例えば猫の画像を認識する場合、ディープラーニング以前の方法では人が何千という猫の特徴量をコンピュータに記述していたが、この方法では判断の精度を上げることが困難だった。一方、ディープラーニングでは人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークを多層にしたディープニューラルネットワークを使い、大量のデータから特徴量を自分で選択・学習し、正しく推論することが可能になった。

3.ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングとは、例えば猫の画像を入力したときに、「猫である」と判断して結果を出力する(写像する)ために、簡単な関数の組み合わせで表現力の高い関数(「深い」関数)を作り、その変数をデータから推定する方法であるといえる。「深い階層を持った関数を使った最小二乗法」と表現されるが、座標軸上の多くの点から誤差が一番小さくなる近似式を見つけることである。関数を「深い階層」にすることで表現力を飛躍的に上げている。

ディープラーニングは、データセット(教師データ)をニューラルネットワークに反復的に学ばせて学習モデルを作る「学習」と、新しいデータ(現場データ)を学習済みモデルに入力して答えを出す「推論」の二段階で成り立つ。推論が正しかった場合、「汎用性能がある」と評価される。従来は人間の考えたルールを土台にしてデータを入力し、答えを得ていたが、機械学習・深層学習では教師データを入力すると、AIが自らルール(学習モデル)を作り出すという大きな特徴がある。

4.第三次AIブームの背景と意義

インターネットの発達によりビッグデータの集積が可能となり、教師データの収集が容易になった。さらに計算機、機械学習技術の発達が合わさり、飛躍的な進歩を実現した。第三次ブームはコンピュータに目を持たせたといわれ、機械による検品や自動車の運転などを可能にした。AIによりさらに様々なことができるようになるであろう。

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