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第5回AIジェネラル基礎ゼミが行われました。

AIジェネラル基礎ゼミ

第5回 「AIと農業」(2021年10月27日)

信州大学社会基盤研究所 教授 小林一樹

第5回講義は、小林一樹先生による特別講義が行われました。小林先生は、AI技術を
導入した農業研究について、データ活用の重要性を挙げつつ説明されました。

 まず初めに小林先生は、情報と農業の関係についての基本知識につき、次のように
お話されました。昨今取り上げられる「スマート農業」とは、ほ場の実態把握のため
に収集したデータに基づいて実践される農業である。従来は農家個々人の勘や経験に
よりなされていた農業の耕作面積拡大による生産性向上の途を開き、また科学的生産
管理を可能とする上で、ITやICT、AI等の技術を用いたスマート農業の需要が高まっ
ている。スマート農業の内容は、「精密農業」そのもの、即ちほ場内のばらつきの科
学的理解・技術革新による生産性・収益性の向上、環境負担低減を図るイノベーショ
ン型のアプローチであって、事実的記録に基づき詳細なデータ管理を行う(データ駆
動型)ものである。かかる農業は古くより欧米で行われていたが、小規模ほ場が多数
あり、かつ多数の農家が多様なほ場管理を行う日本の農業の実態に必ずしもマッチし
ない。日本の農業の性質上生じるばらつきの問題にいかに対応していくかが重要であ
る。
 データ駆動型農業の目標は、農業の安定・高品質・高効率化と持続可能性にあり、
例えば植物の育成との関係においては、出荷時期・出荷量予測や生育ステージ特定の
実現を目指す。これらを可能にし得る技術がITやデータサイエンス、そしてAI等であ
る。もっとも、かかる技術を用いたサイバー空間を用いるに重要なのは、デジタル空
間とフィジカル空間間の情報の変換であり、フィジカル空間上の情報次第でサイバー
空間の価値が変動する。かかるサイバーフィジカルシステム運用の先にあるのが、情
報が高度個別的処理を可能とする「超精密農業」である。

 以上を踏まえた上で、小林先生は、農業のスマート化を図った自身の研究内容につ
いて、実際のデータや動画等の資料を用いて詳しく説明されました。実際の取組みの
一例として、長野県小布施町の農園でのフィールドモニタリングの研究が取り上げら
れていました。
 ここでは、正確かつ詳細な情報を収集するべく、気温や湿度等の正確な記録や高精
細画像での観察を可能とすることで、フィジカル空間上の情報収集を高度化してい
る。そして、収集されたデータを集約・整理し、例えば、あるリンゴ農園のリンゴの
成長の計測記録のデジタル管理を実現した。特にここでは、従来のデータ管理上、手
作業による訓練画像の準備を要していたのに対し、訓練画像の自動生成システムを開
発・実装したことで、高度な自動処理を可能とした点特徴がある。具体的には、最初
の画像(今後の経過を記録するリンゴなど)の切り出しさえ行えば、その後はシステ
ムにより正確なデータとニューラルネットワーク上覚えるべきデータが自動生成され
るのであり、AIの深層学習技術が農業分野において深層学習が有効活用されている一

例と言える。

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