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第2回ライフクリエイター入門演習が行われました。

ライフクリエイター入門演習

第2回 「現代AIが可能にしていること」(2021年4月14日)

信州大学社会基盤研究所 特任教授 林憲一

第2回の講義では「現代AIが可能にしていること」と題して、日常生活から文化・芸術の分野まで多岐にわたるAIの働きを紹介しました。また、AIを使って社会の課題解決に挑む高専生たちの事例を提示し、得た技術を課題解決のビジネスモデルにつなげることの大切さについて話しました。

1.実はあれもこれもAI

YoutubeやTiktok、Amazonなどは、AIが個人の閲覧履歴や購入履歴から趣向を学習し、それぞれに違うものを提案している。音声を認識してスマホなどを作動させるSiriでは、音声を正しく認識する機能、日常的な言葉を理解する機能、返答時に音声を合成して話す機能などにAIが使われている。AIがチャット形式で会話をする「チャットボット」は、近年、製品のサポートサービスに利用され、電話対応の混雑を緩和している。

2.AIで故人の「新作」を作り出すことの是非

2019年末のNHK紅白歌合戦では「AI美空ひばり」による3D映像の歌唱が実現された。AIに美空ひばり本人が歌った過去の音源を学習させ、歌い方のルールを見つけながら歌唱方法を完璧にマスターし、AIに新曲を歌わせるという試みだったが、口の動きや振付も再現したCG映像は大きな話題を呼んだ。

2020年にはAIが手塚治虫の作品のストーリーやキャラクターを学習し、"手塚治虫っぽい"ストーリーやキャラクターを新たに作り出した。それを基に人がコマ割りやせりふなどを考え、新しい漫画作品を完成させたが、AIと人間の共同作業として注目を浴びた。

いずれもすでに亡くなっている人の作品をAIの技術を使って新たに作り出すという事例であるが、技術的な側面では相当程度に可能であることが分かった。しかし、親族の了解など法的な権利関係をクリアしてもなお、「本当にそれをしていいのか」という倫理の問題は残されている。

3.全国の高専生たちが作り出すAI技術を使ったビジネスモデル

全国の高専生たちがAI技術を社会の課題解決につなげる事業を考え、その価値を競う大会が開かれている。昨年優勝した東京高専は「自動点字相互翻訳システム」を開発し、翻訳の精度を上げていく機能や文章を要約する機能をAIで実現した。この事業は開発者の高専生たちにより実際に起業されている。私たちの生きる社会には課題があふれているが、AIの技術を技術のみとして磨くだけでなく、課題解決のビジネスモデルにつなげることが必要とされている。

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