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第14回ライフクリエイター入門演習が行われました。
ライフクリエイター入門演習
第14回 「AIと職業(2)」(2021年7月21日)
信州大学社会基盤研究所 特任教授 林憲一
第14回の講義は前回に続きAIと職業について話しました。AIに関わる様々な職業や資格を紹介し、2025年の職場環境では多くの職場において、AIの技術を使いこなす人材がより必要とされるであろうと強調しました。
1.現在のAIに関わる職業
時代とともに職業は当然に変化していくものであり、AIの発展により新しく生まれた職業も多くある。AIをプログラミングする「AIエンジニア」は世界中で必要とされている職の一つである。従来は顧客の要求に応じてあらかじめ仕様書を作り、上から順番に開発手順を踏んでいく開発方法(ウォーターフォール型)が主流であったが、AI開発においては事前に予測ができないことが多く、まずはやってみてそれから改良、実装、テストを繰り返す方法(アジャイル型)が好ましい。また統計学を駆使してデータを分析する「データサイエンティスト」もデータの扱いが重要なAI業界において需要の高い職となっている。この他にも「データアナリスト」や「セールスコンサルタント」などがある。
2.AIに関わる資格・コンテスト
日本ディープラーニング協会はAIに関する「G(ジェネラリスト)検定」と「E(エンジニア)検定」を実施している。G検定は経営者らを対象にディープラーニングの基礎知識や適切な活用方針を決定し、事業に応用する能力を問う内容。E検定はディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を問う内容で、数学や機械学習の分野から出題される。
「kaggle」は国際的な機械学習開発のコンテストプラットフォームで、企業の依頼を受けて賞金付きの開発コンテストをオンラインで開催する。開発者が腕を競う場であり学習の場でもある。例えば「タイタニックの生存予測」を行う最も有名なコンテストでは、乗船名簿(氏名、性別、年齢、妻子の有無、階級など記載)からその乗船者の生存結果を予測するというもので、参加者は与えられたデータを整理・解釈してAIをプログラミングし生存予測の正答率を競った。
3.2025年の職場環境
2025年にはAIの仕組みを理解して使いこなす管理職が登場し、管理職のルーティンワークの約7割をAIが代行するようになる。従来人間のアシスタントがやっていたスケジュール調整やプレゼン資料の作成などもAIが代替する。新入社員はAIネイティブな世代でスマホやクラウドを使いこなし、高校や大学でAIの理論を学んだ若者たちが社会に出ていく。一方で、非AIネイティブな時代に対応できない人々も多く残るとみられる。
これからの時代に求められる人材になるために、キャッシュレス決済やYoutube、TikTokなどの新しい技術を積極的に使ってみることも大切である。
