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第10回AIジェネラル基礎ゼミが行われました

AIジェネラル基礎ゼミ

第10回 「AIと教育」(2021年12月8日)

信州大学教育学部 助教 佐藤和紀

第10回目の授業は、佐藤和紀先生による特別講義が行われました。佐藤先生は、教員
実務経験を踏まえた教育工学の研究者として、学生に今の学校教育の実態と流れを知
ってもらった上で、AIの教育活用について考えてもらいたいとして、以下のような内
容のお話をされました。

1.現在の学校教育
 日本の子供たちはICTを用いた学習をほとんどしておらず、タイピング速度も他の
先進国に比べ圧倒的に遅い。また、日本の教育現場でのテクノロジー利用は極めて少
ない。それ故に、昨今のコロナ渦において十分なオンライン授業の導入ができた自治
体は5%程度という結果も生じてしまっている。
そこで、以上のような現状に対処すべく、「GIGAスクール構想」が立てられている。
左構想は、児童生徒向けの一人一台の端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体
的に整備し、多様な子供たちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された
創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想である。これを受け
て、学力調査や入試のCBT化、学習者用教科書のデジタル化等が進んでいくと考えら
れる。
実際の教育現場でも、ICTの導入進められている。例えば、スプレッドシートを有効
に共有することで、挙手等による自己の意見反映の抑制を排し、また他者の意見の一
望を可能とさせることでの思考整理を促している授業がある。他にも、実習データの
即時共有等による迅速なフィードバックを可能とし、学習効率を上げる取り組みを行
う教室もある。

2.AIを活用した教育制度
 学校の教育現場では、AIドリル等のAI技術が活用されているが、研究レベルにおい
ては、いかなる活用が試みられているか。例えば、佐藤先生の行った「下駄箱AI」と
いう、下駄箱の整理整頓度合いを判別するAI技術の開発研究がある。これは、「学級
崩壊は整理整頓に現れる」等の、教育上の経験に基づいた指導技術や方法の伝承の不
十分に対応するべく開発されたものである。AIに教材となる下駄箱の画像を認識さ
せ、判別基準を作りの学習をさせることで、モデル化された基準の下にかかる整理整
頓度合いの判定を可能とした。先生は、複数名の教師の協力の下、実際の教育現場で
の実装を行ったところ、日々判定される整頓度合いの結果を受けて、生徒たちが自主
的に整理整頓に努め、判定の評価は日を追うごとに高まっていった。また、生徒たち
が「AIがどのような判定をするのか」試すように敢えて雑な下駄箱への収納をする
等、AIを理解しようとする姿勢もうかがえた。

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