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第1回ライフクリエイター入門演習が行われました。

ライフクリエイター入門演習

第1回 ガイダンス(2021年4月7日)

信州大学社会基盤研究所 特任教授 林憲一

         同  特任助教 高野双葉

初回の講義では、人工知能の研究を専門とする林憲一先生が、私たちの身近にある様々なAIの働きを紹介しました。これからますます進歩し広がっていくAIの利活用について、私たちが考えるべき課題を示し、本講義の趣旨を説明しました。

1.私たちは、知らず知らずのうちにAIに囲まれて暮らしている

youtube,Amazon,TikTokなどは、私たちの趣向を分析して次々に閲覧候補を出してくるため、ひとたび見始めると見続けてしまう。インターネットのニュースも同じくAIが過去の閲覧から学習して、興味関心の高そうな内容のものから順番に提示している。他にも、出入国管理でのパスポート写真と本人の同一性の判断や、胃カメラでの胃がん発見、農作物の収穫などにもAIが使われている。

AIの進歩によって、私たちはAIが用意した、自分にとって心地よいもので満たされた空間で、便利に生活するようになるであろう。はたしてAIの働きによって、社会は平和で平等に保たれ、人類は仕事から解放され、自由を謳歌することができるのだろうか。

2.AIにより分断される世界

AIは、スマートホンやパソコンを通じて私たちの好みや考え方を学習し、反映する。私たちがそれらの機器を通してみる世界は、好きなものや自分と同じ意見であふれている。一見それは心地の良い状態のようにも思えるが、自分の意見と違う意見に触れる機会を失い、異なる他者への排除を強める結果を引き起こしている。昨年のアメリカ大統領選挙での共和党と民主党の先鋭的な対立や、大阪都構想での対立は、AIによって操作されたソーシャルメディアの影響が大きいだろう。

3.人工知能とは何か

人工知能(Artificial Intelligence)という用語は1950年代に作られ、2010年以降の現在は第三次AIブームと言われている。AIは常に現状から学習する仕組みであるため、現代社会にある差別や偏見から傾向を学び、導き出す答えに反映してしまうこともある。Amazon社では採用試験の書類選考を、これまでの採用データを学習させたAIに任せた結果、男性ばかりが通過することとなった。AIは現状を映し出す鏡であり、AIに任せて平等が実現されるとは限らない。

AIについての課題は技術的な側面だけでなく、法律的にも許されるものなのか、さらにその上で「倫理的にやってもいいことなのか」という考察も必要である。AIの課題は理工学系だけでなく、法学、倫理、医学など学問領域を横断的に取り組むべきものである。

信州大学卒業生で弁護士の高野双葉特任助教からは、「AIの利活用と法曹になるには」と題した講義があり、地方自治体でのAIの活用状況などについて話がありました。

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