時系列空間利用データを用いたポストコロナ・超高齢化社会における健康でストレスの少ない街づくり

時系列空間利用データを用いたポストコロナ・超高齢社会における健康でストレスの少ない街づくり

社会基盤研究所地域デザイン部門

取組概要

取組内容詳細

　新型コロナウィルス（以下、コロナ）による行動やストレス、体調への影響の最小化、柔軟な適応の実現を目的に、都市・地域構造及び個人属性による特性を分析できるモデルを開発した。

　デザインを専門とする研究代表者は、コロナ禍の自粛制限下において、人々が狭い住宅に長期間閉じ込もる問題や、オンラインによる新たな調査・研究方法の必要性を感じた。その中で、信州大学先鋭領域研究群の心理学、機械工学、法学の研究者と連携し、米国MITのケビン・リンチが提唱したイメージマップの調査手法をオンラインで実施できるプログラムと、厚生労働省が作成したストレス調査を組み合わせたオンラインの調査プラットフォームを構築し、2020年度に日本および海外の主要都市における調査を実施した。

　具体的には、コロナの自粛前(2019年)と第一次自粛期(2020年)のストレス、活気、体調変化把握と、両時期の行動範囲や散策ルート等をスマートフォンから入力できる、日英2か国語のオンラインアンケートを構築した。本技術は、欧州の個人保護法を考慮して個人情報（住宅の位置）の匿名化等の工夫を行い、大学の倫理審査を経て実施できた。その結果、国内約1200名、海外約300名の有効回答を得て、ニューヨーク、アムステルダム、東京の合計741名の有効回答から、コロナ感染拡大前と比較し、有意なストレス変化を説明する変数として16の変数を特定した（Uehara et al. 2020）。具体的には一人暮らしか否か、散歩やジョギングなどの外出回数がストレス減少の有意性が高い説明変数であった。また、故郷とは異なる場所に住んでいる人、仕事や家族関係に不満を持っている人は、統計的に有意な差をもってストレスを感じていた（Uehara et al. 2020）。

　興味深いのは、個別に計測されるだけでは把握できない、上記の成果のような自宅に引きこもる高齢者、属性を問わず散策がよく行われる街区環境の違いなど、空間デザインにも寄与できるエビデンスが蓄積でき、また国内外、都市の規模を問わず調査が実施可能である点と言える。

論文情報

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・Misato Uehara, Makoto Fujii, Kazuki Kobayashi, Yasuto Hayashi and Yuki Arai, "Common Factors of Stress Change under the First COVID-19 Outbreak as Observed in Four Global Cities", Sustainability

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