Report活動報告

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【授業レポート】地域課題実践PBL「国際共修プロジェクトA-1」(2025年度前期共通教育科目)

2025.07.16 (Wed)

2025年度前期共通教育科目「国際共修プロジェクトA-1」(集不定)において、学生サポーターとして共修授業のサポート活動に従事しました。この授業の主な取組内容を紹介します。

この授業は、カリフォルニア州立大学サクラメント校からの短期留学プログラムで渡日した米国留学生とともに、5月の事前学習と6月7日~21日の2週間にわたり、座学やフィールドワークを通して日本の持続的な食料システムやその課題や要因を学習しました。フィールドワークでは、国産の大豆にこだわり自社製品している石井味噌(松本市)の味噌蔵や全国的な流通展開をしているマルコメ味噌(長野市)の工場を訪問し、それぞれの生産方式やこだわりポイントを学び、一概に「味噌」といっても発酵期間や材料によって味が全く異なることを学びました。また、山ノ内町立南小学校に訪れて、同校の児童と豆腐作りを通して日本食に触れる体験や、安曇野の大王わさび農場を訪問し地場産業を学ぶなど、信州の自然が育む食に関する文化や伝統、歴史等を実体験を通して学ぶことができました。事前学習で日本の伝統的な食材である味噌や豆腐の作り方、現在はグローバル化が進んで日本は大豆などの材料を海外に頼っている事実などを学んだおかげで、座学で得た知識をフィールドワークで痛感した日本食料システムが直面している問題に関連付けて捉えることができました。さらに、学びとともにサクラメント校の学生とも共修を通じて交流が深まりました。

事前学習では、主にPadletというオンライン掲示板を活用して信州大学生、サクラメント校学生、そして担当教員が交流を行いました。対面で交流する前に、自己紹介の動画を母国語と英語で撮影しPadletに掲載することで、他の生徒や担当教員がコメントを送るなど交流ができました。また学習のスケジュールもPadletから閲覧でき、日本の食料システムの課題やその要因がテーマとして挙げられている動画による学習課題があり、動画の視聴からの気づきや学びを書き出し、共有することで理解を深めました。例えば、授業の中で予定されていた調理実習にむけて、サクラメント校学生1人、信州大学生2人の合計3グループで各々が記録した自身の3日間の食生活を紹介しあう課題では、個々人で違うのはもちろんですが、国によっても特徴が違うことに改めて気づきました。

 6月7日:サクラメント校学生が松本駅に到着し、担当教員と学生サポーターで出迎えました。松本キャンパスまでは、途中松本ならではの井戸水を汲んだり昼食を一緒に食べたりなど、米国留学生と授業以外の時間でも交流を深める機会がありました。

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 6月9日:石井味噌での工場見学では、石井社長から天然酵造の製法や杉桶についての説明を聞き、味噌の製造工程の見学を行いました。工場見学の後、工場内のレストランで信州豚ロース味噌生姜漬御膳をいただきましたが、工場で作られた味噌を使った料理は、味・栄養ともに満点で、とても美味しく、皆の箸が止まりませんでした。その後、石井味噌のこだわった国産大豆使用の三年味噌と、普段スーパーに売っている味噌の違いを比較するために、市内のスーパーマーケットに行き、商品の違いを確かめました。

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 6月14日:担当教員のゼミ履修生と共同で、松本市内の友の会で調理実習を行いました。調理実習は4人組の全4グループに分かれて、それぞれのグループに2人の友の会のメンバーの方がついてくださり、その方の指導の下、調理をしました。ただ調理するだけではなく、豆腐の作り方に関する講義を受けて出来立ての豆腐の味見をしたり、一日の適切な食事の量を学んだり、自分たちで記録した3日間の食事をもとに足りない栄養素やより健康的な食生活を送るためのアドバイスといただいたり、食に関する学びを深めました。友の会の方たちは栄養学に長けているのでとても参考になり、また分かりやすく理由も教えてくれたのでアドバイスに従って自分の食生活を見直すきっかけにもなりました。

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このほか、中山間地域において自然栽培で輸出用の玄米を生産する伊那市の農業法人Wakka Agriにおいて、3日間のインターンシップを行い、農業を体験しながら食料生産の本質に対する理解を深める授業もありました。

今回の授業を通して、持続可能な食料システムを構築するためには、森林減少や少子高齢化、耕作放棄地や地理的問題など様々な要因が絡んでいて解決することは簡単ではないことを学びました。また、物価上昇などで原材料入手にもよりコストがかかって農家や食品製造会社の経営維持も難しくなっているのではないかと思いました。そのような状況でも、国産や品質にこだわり、美味しい料理を提供し続ける方たちが多いのは日本の強みだと感じました。実際のフィールド型の実習体験を通じて、農作物を維持、管理することの大変さを痛感したと同時に食へのありがたみが一層増しました。

事後学習では、本授業を通して学んだことをもとに、持続可能な食料システムを構築するために、自分たちでできそうなアクションプランをまとめてグループに共有しました。皆が感じたフードシステムの問題について近い将来、解決がなされ、農家も消費者もハッピーになる日々が送れるようになるといいなと思いました。

文筆:世界展開力強化事業学生サポーター M