• 受験生の方へ
  • 医師の方へ
  • 企業団体の方へ
  • 卒業生の方へ
  • 地域の方へ
  • 在学生の方へ

トピックス詳細

医学部医学科 林 琢磨 准教授らの研究グループが「子宮間葉系腫瘍の鑑別に対する新規バイオマーカーの開発」の成果に対し神澤医学研究振興財団より平成24年度 神澤医学賞を授与されました。

2013.03.05

子宮平滑筋肉腫(子宮肉腫)は、再発・転移を繰り返す難治性腫瘍であり、50歳以降その罹患率の増加が認められます。子宮平滑筋腫(子宮筋腫)は、人種を問わず50歳以上の成人女性の約80%が発症するといわれる良性腫瘍ですが、子宮肉腫との判別が極めて難しい場合もあります。画像診断技術は日々進歩していますが、MRI等の画像診断では、子宮肉腫は子宮筋腫と区別しにくい場合もあります。現行の確定診断は、病理医の経験に基づいた摘出物の病理診断により行われるため客観性に欠けています。そのため、容易に、正確に診断できる技術の確立が要望されています。
これまで、林准教授らは、米国・MITの利根川 進 教授との研究協力のもと、プロテアソーム構成因子LMP2の欠損マウスで、子宮肉腫が高頻度に自然発症することを報告しました。そこで、林准教授らは、病理ファイルより選別された各生検組織でのLMP2の発現状況について免疫組織化学染色により検討を行ないました。その結果、子宮肉腫で特異的なLMP2の著しい発現低下が認められました。さらに、LMP2に着目したMicroArrayの遺伝子プロファイリングより、子宮肉腫特異的にCyclin Eの著しい発現が認められました。提携の医療機関(1)との連携の基、林准教授らは、LMP2とCyclin E、さらに堀内元信州大学医学部医学科講師らが報告したCalponin h1を加えた3因子を子宮間葉系腫瘍の診断マーカーとしての信頼性について種々の子宮間葉系腫瘍で検証を行っています。さらに、林准教授らは、子宮肉腫を中心とした子宮間葉系腫瘍の生物学的特徴の解析を行い、新規治療に向けた標的因子の探索を行っています。林准教授らの研究結果と現行の診断基準との総合的な情報による確定診断は、これまでの診断レベルを革新するものです。これらの研究開発の成果に対して、林准教授らは、神澤医学研究振興財団より平成24年度 神澤医学賞を授与されました。

  (1)(独)科学技術振興機構産学連携事業(信州大学、京都大学、東京大学、東北大学、大阪市立大学、国立がんセ、兵庫県立がんセ、シグマアルドリッチ社)


本研究開発プロジェクトの立ち上げメンバー

林 琢磨(信州大学医学部医学科 准教授)
http://www.shinshu-u.ac.jp/graduate/medicine/i-topics/#47929
堀内 晶子(現 ほりうちレディースクリニック 院長)
http://horiuchi-ladies.com
佐野 健司(信州大学医学部附属病院臨床検査部 講師)
http://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/i-chuken/index.html
小西 郁生(京都大学大学院医学系研究科 教授)
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~obgy/