信州大学法科大学院

研究科長挨拶
 信州大学法科大学院は、平成29年3月末をもって廃止することとなりました。
 廃止にあたり、私たちは、平成17年4月の開校以来、信州大学法科大学院が辿ってきた軌跡を十二年史としてまとめ、また、蓄積されてきた膨大な資料の一部を電子化し、アーカイブとして後世に遺すこととしました。
 この作業を通じて私たちは、信州大学法科大学院が地域の皆様から大きな期待を受け、誕生したことを再確認することができました。とくに、法科大学院設置を求める地域の皆様から寄せられた13万人分にも及ぶ署名の存在感は圧倒的でした。倉庫に保管されていた段ボール箱を開くたびに、開校当時の熱気のようなものを感じ取ることができました。
 また、昔の授業関係の資料や修了式の集合写真などに触れ、司法試験合格という目標に向かい、院生たちとともに格闘してきた日々を思い起こすのは楽しい作業でもありました。一方で、それは心の痛みを伴うものでもありました。修了生のほとんどが、あれほどまでに犠牲を払って努力を重ねたにもかかわらず、司法試験合格という結果を手にすることができず、法曹への途をあきらめざるを得なかったからです。
 地域からの大きな期待を受け、また、多くの若者たちの夢を叶えるべく誕生した信州大学法科大学院でしたが、期待や夢に十分に応えることができないまま廃止となることは大変残念なことです。しかし、法科大学院を巡る厳しい環境の中で、一定数の司法試験合格者を輩出して参りましたし、しかもその多くが地域法曹として活躍しています。信州大学法科大学院が地域の司法に貢献してきた実績は決して消し去ることはできません。修了生たちがさらに成長し、社会に貢献することで、信州大学法科大学院が遺したものの大きさが再評価される日がきっと来ることでしょう。
 最後に、これまで信州大学法科大学院を支えてくださった皆様に対し、廃止という結末につきお詫び申し上げるとともに、これまでのご支援にあらためて御礼申し上げます。修了生たちの今後の活躍が、皆様への恩返しになることを心より願っています。

平成29年3月

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