信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高風速に曝されるスポーツウェアの通気性とそれが皮膚温に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.10 Vol.10

 要旨

 高風速に曝されるスポーツ競技において,ウェアの人体に及ぼす影響を知るために,オートバイ走行時を例として人体皮唐温変化を計測した.またこの結果をふまえてウェアのあり方を布の通気性,風力抵抗の面からモデル的に検討した.
 (1)屋外実験
 2種の着衣条件で高速道路を2種の速度で走行した.一般に皮腐温変化は安静時よりも走行時の方が気温変化との相関が高くなる.また露出部分は勿論,被覆部の皮慮温も低下し,とくに走行時の胸,腹の低下は最も大きく,背の低下は少ない.
 (2)モデル実験
 (a)ウールギャバジン,綿ブロード,綿ニットおよび各種のスポーツ用ニットウェアの高風速時の布の通気性を測定した.つぎに高速の風に対する布の通気性が皮盾温に及ぼす影響を,円筒形サーモ・インテグレータを用いて検討した.布を密着して巻いた円筒に風を当てると円筒の表面温の低下は前面が最も大きくなるが他の面はほぼ均一である.ゆとりのある布を巻くときも風により布がはためくにもかかわらず密着の場合とほぼ同様の紗傾向を示した.また通気性のないフィルムは通気性のある布と低下の傾向が異なった.
 (b)高風速の風に対する風力抵抗と布材料との関係を風力抵抗測定装置を用いて検討した.このとき風速を増加すれば抵抗は増加するが,ある風速領域に至ると一時的に低下し再び増加する現象が認められる.この領域は布表面の粗さの大きいものほど,また通気性の大きいものほど風速の小さい側で生ずる.今回の実験条件ではスケート用ウェアでは15-20m/sec,スキー用ウェアでは16-22m/secにこの領域が生じた.

「デサントスポーツ科学」第10巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 都竹初稲*1, 長井茂明*2
大学・機関名 *1 一宮女子短期大学, *2 愛知教育大学

キーワード

高風速オートバイ走行通気性風力抵抗円筒形サーモ・インテグレータ