信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 人生80年時代の体力に関する基礎的研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 中高年者の活動度をいかに増進,維持していくかをライフサイエンスの短かいラットを用いて行った.雄性ラットに若年時(4週齢)および中年時(12ヵ月齢)に飽食対照群の75%に食餌を制限し,中等度な運動を24ヵ月齢まで負荷して体脂肪量,基礎代謝量を測定した.若年時からの食餌制限・運動負荷群は,12週間で飽食対照群の3.5倍の走行能力を有し,その体脂肪の蓄積を有意に抑え(P<0.001),また,基礎代謝量を20%増加させた(P<0.02).しかし,4ヵ月齢以降の運動頻度を2回/週に落とすと15ヵ月齢以降の代謝量に減少の傾向があった.
 若年時より始めた食餌制限は体重を一定に維持することはできるが,体脂肪の蓄積を有意に抑えることはできず,基礎代謝量の有意な増加も認められなかった.しかし,食餌制限のみで加齢による代謝量の低下は抑えることができた.中年以降の食餌制限は,基礎代謝の加齢による低下を防ぐことができた.中年時より始めた食餌制限・運動負荷は,12週間で飽食対照群の3〜4ヵ月齢時の走行能力を上まわり,基礎代謝量を有意に増加させたが,体脂肪量を有意に減らすことはできなかった.しかし,中年時の運動頻度(6回/週,10分/日)を半分に減らし,1回の運動時間を倍にすると基礎代謝量を12ヵ月齢時より11%増加させるばかりか体脂肪量の有意な低下を生じさせた.また,15ヵ月齢以降も同一運動を継続してゆけば24ヵ月齢まで基礎代謝量の低下を抑制できた.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 原田邦彦
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

体脂肪量基礎代謝量食餌制限運動負荷