最大運動後の唾液中代謝物質は血液中の代謝物質を反映するか?
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.14 Vol.14】
本研究は長距離走者を対象に,3,000m全力疾走を2回行い,唾液中乳酸濃度の再現性を検討すること,および短距離走者と長距離走者を対象に400m全力疾走を行わせ,乳酸およびグリセロールにっいて,唾液中と血液中の濃度の関係を明らかにするために行った.被検者は,長距離走者7名と短距離走者5名であった.
2回行った3,000m疾走後の血中乳酸濃度のpeak値は,それぞれ11.48±1.28mmol・l⁻¹,10.72±2.61mmol・l⁻¹であり,また唾液中の乳酸濃度のpeak値は,それぞれ0.56±0.19mmol・l⁻¹,0.60±0.20mmol・l⁻¹であり,血中および唾液中ともに有意な差は認められなかった.また,唾液中乳酸濃度における1回目と2回目の相関係数(r)は,0.763であり,密接な関係(P<0.01)が認められた.400m疾走後の血中乳酸濃度のpeak値は,短距離走者は17.26±1.19mmol・l⁻¹,長距離走者は12.33±1.99 mmol・l⁻¹であり,長距離走者に比べ短距離走者の方が,有意に高い値を示した(P<0.01).
400m疾走後の唾液中乳酸濃度のpeak値は,短距離走者が1.58±0.38 mmol・l⁻¹,長距離走者が0.62±0.17 mmol・l⁻¹であり,両群間に有意差が認められた(P<0.01),また,400m全力疾走後のpeak乳酸濃度に関して,血中と唾液中濃度の間に有意な相関関係が認められた(r=0.702,P<0.05).これらの結果から,安静時および運動後の唾液中の乳酸濃度の測定は,再現性が高く,また唾液中の乳酸濃度は,血液中の乳酸濃度をよく反映していることが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第14巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
2回行った3,000m疾走後の血中乳酸濃度のpeak値は,それぞれ11.48±1.28mmol・l⁻¹,10.72±2.61mmol・l⁻¹であり,また唾液中の乳酸濃度のpeak値は,それぞれ0.56±0.19mmol・l⁻¹,0.60±0.20mmol・l⁻¹であり,血中および唾液中ともに有意な差は認められなかった.また,唾液中乳酸濃度における1回目と2回目の相関係数(r)は,0.763であり,密接な関係(P<0.01)が認められた.400m疾走後の血中乳酸濃度のpeak値は,短距離走者は17.26±1.19mmol・l⁻¹,長距離走者は12.33±1.99 mmol・l⁻¹であり,長距離走者に比べ短距離走者の方が,有意に高い値を示した(P<0.01).
400m疾走後の唾液中乳酸濃度のpeak値は,短距離走者が1.58±0.38 mmol・l⁻¹,長距離走者が0.62±0.17 mmol・l⁻¹であり,両群間に有意差が認められた(P<0.01),また,400m全力疾走後のpeak乳酸濃度に関して,血中と唾液中濃度の間に有意な相関関係が認められた(r=0.702,P<0.05).これらの結果から,安静時および運動後の唾液中の乳酸濃度の測定は,再現性が高く,また唾液中の乳酸濃度は,血液中の乳酸濃度をよく反映していることが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第14巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 大桑哲男*1, 中部大学*2, 名古屋自由学院短期大学*3 |
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大学・機関名 | *1 名古屋工業大学, *2 中部大学, *3 名古屋自由学院短期大学 |
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