信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 保湿水着が女性水泳指導者の体温および血液性状に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.17 Vol.17

 本研究の主たる目的は,保温の目的に製作された「保温水着」が一般的な競泳用水着と比較して,水中歩行時の体温調節反応に及ぼす影響を検討することであった.被験者は健康な成人女性8名であり,その年齢,身長,体重および体脂肪率の平均値および標準偏差値はそれぞれ20.5±0.7歳,165.0±4.1cm,53.9±3.1kgおよび20.7±4.8%であった.実験は,水温29.0℃に設定された水中運動負荷装置を用い,陸上安静5分および水中安静5分を経過した後,20分の水中歩行を行った.
 以上の条件において保温水着および競泳用水着の着用の比較から直腸温,平均皮膚温平均体温,自覚的温度感覚および血液性状等を検討した.直腸温は,保温水着が実験中において終始0.1℃以内に温度低下を保つことができたのに対し,競泳用水着は入水直後から一過性に下降傾向を示し,実験開始から終了までには0.2℃以上の低下を示した.しかし,毎分ごとの両者の統計学的有意差は認められなかった.
 平均皮膚温は,両条件とも実験開始から一過性に下降傾向を示した.とくに競泳用水着では入水直後に0.16℃ほど急激に低下した.水中歩行中は,両者ともに緩やかな下降現象を示した.毎分ごとの両者の統計学的有意差は認められなかった.
 平均体温は,両条件とも終始,一過性に下降傾向を示した.両者を比較すると,水中安静時から運動終了まですべて統計学的な有意差が認められた.

「デサントスポーツ科学」第17巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 清水富弘*1, 藤島和孝*2, 大柿哲朗*2
大学・機関名 *1 上越教育大学, *2 九州大学

キーワード

保温水着水着体温調節反応水中歩行