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逆問題の理論

私の研究テーマは、微分方程式の逆問題(の周辺)となります。逆問題は色々な科学と工学の問題からきます。順問題とは入力(原因とメカニズム)から出力(結果、観測)を求めます。その逆に、出力(結果)から入力(原因とメカニズム)を推定する問題のことは逆問題と呼ばれます。

「ある女の人は、お腹が痛いとき不機嫌です。」ここでは"お腹が痛い"は原因、"不機嫌"は結果。つまり、女の人の不機嫌の理由が分かることが逆問題といえるでしょう。(色々な理由が考えられるが、解は「お腹が痛いでしょうか?」となります。
もうひとつの例は、"太鼓逆問題" (スペクトル逆問題のひとつ)です。 太鼓の音は、太鼓の固有振動数で決められている、そして太鼓の形にも依存している。つまり、"太鼓逆問題"とは、音(固有振動数)から太鼓の形を求めることができます。 こういったスペクトル逆問題を重点的に掘り下げています。

taiko

世の中のおおよその事象は、数学的な見地から微分方程式の逆問題として解析することが可能です。
例えば、電気インピーダンス・トモグラフィ:身体に電極を何本かつないで電気を流す。電気の電流と電圧を測定して、身体中の状態を測定する。
この問題は、微分方程式の逆問題の形で解けます。 津波予測、飛行機の翼にあるクラック診断なども逆問題の形で解けるわけです。

数学を学ぶということは、人生のあらゆる面で論理的に判断する能力が鍛えられます。さらに実生活ではこの能力を持っているというだけでなく、行動することが重要です。 学生達が真の意味で「自分の人生を生きる」ということに対峙したとき、この能力を持っていることが自分にとって本当に重要なことに気付くでしょう。

トルシン イゴール