物理学コース 光物性分野

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光物性分野とは

光物性研究室では,近年まで未開拓領域として取り残されていた唯一の電磁波領域である,"テラヘルツ領域"の電磁波における分光装置を開発し,その装置を用いて様々な物質の光学応答特性を研究しています。 さらに,人工的な微細構造を作製することにより,光・電磁波の自由なコントロール技術の確立を目指しています。

・テラヘルツ波とは

半導体表面に強い光パルスを照射すると電磁波パルスが放射されます。光パルスの幅がフェムト秒程度(10-15秒)に達すると電磁波の振動数はテラヘルツ(THz、1012Hz)領域となります。 本研究ではこの放射されたTHzパルス電磁波を光源とした新しい分光システムであるテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)の開発を行っています。この分光計の特徴は測定電磁波の電界強度と位相スペクトルを同時に得られる点にあります。したがって、例えば透過測定を行うと,試料の屈折率の実部と虚部が同時に独立して決定できます。 本研究室では,このTHz-TDSを用いて,メタマテリアルなどの光学特性を測定しています。

・メタマテリアルとは

メタマテリアルと呼ばれる人工物質が,最近注目されています。一般の透明物質では,誘電率と透磁率はともに正であるので物質の屈折率は正の実数となり,光は物質内に侵入することができます。金属やある種の磁性体などでは,誘電率または透磁率のどちらか一方が負となります。そのため屈折率は純虚数となり,物質内への光の侵入は禁止されます。しかし,誘電率と透磁率が同時に負となる場合,物質の屈折率は負の実数となり,光は物質内へ侵入することが可能となります。1968年にV. G. Veselagoが,負の屈折率を持つ物質内の光は,従来の正の屈折率を持つ物質の場合とは全く異なった振る舞いをすることを理論的に示しました。しかし,自然界に負の屈折率を持つ物質は存在しません。しかし最近,人工的な構造によって負の屈折率を現実のものとする物質が幾つか提案され,メタマテリアルと呼ばれています。
この分野の教員紹介

宮丸 文章

金属微細構造における非常にユニークな特性は今も多く発見され続けており,それらの光学特性は将来,人間に役立つ応用技術へ展開されていくものと考えています。

高野 恵介

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