受験生向け研究紹介
岩田 拓記
理学科 物質循環学コース 地球システム解析分野
水や温室効果ガスの交換と環境のつながりを明らかにする
大気と地表の生態系との間では水や炭素などの物質の交換がおこなわれています.これらの物質交換は,その生態系を取り巻く環境により影響を受けると同時に,その環境にも影響を及ぼしています.例えば,森林生態系は光合成や蒸散といったプロセスにより大気と二酸化炭素や水蒸気を交換していますが,その交換は日射や気温,湿度などの環境変化に応答して刻一刻と変化しています.また,この水蒸気交換は周辺の大気の湿度に影響を与えています.これらの交換量と環境の変化を野外で連続的に測定することで,物質循環と環境のつながりの解明を目指しています.
現在,地球温暖化などの環境変化が問題となっていますが,これらの環境変化は物質循環のバランスがくずれることが一因となって生じています.温室効果ガスは気候に影響を与えますが,その大気中の濃度変化は大気と生態系の間の交換量の変化によって引き起こされています.したがって,この交換量の変化と環境のつながりを明らかにすることは,将来の気候を予測する上で重要と言えます.
<陸域生態系における観測>
アラスカの北方林における観測
北極域は温暖化の進行が早く,それが炭素循環に及ぼす影響を明らかにすることが重要です.
中央アルプスにおける観測
高山帯の微気象観測を行うことで,高山環境と高山生態系の関りを明らかにします.
<湖における観測>
長野県・諏訪湖における観測
湖は温室効果ガスであるメタンの主要な放出源です.その大気への放出の測定を実施しています.
堆積物コアの採取の様子
メタンは堆積物中で生成されます。堆積物を採取して,メタン生成速度を求める実験を行います.
諏訪湖の夕焼け
私の研究室の卒業生は,修士課程に進学したり,環境関係の会社や一般企業へ就職したりと様々です.どのような進路となっても大学での研究を通して学んだことを活かして活躍してほしいと思っています.