受験生向け研究紹介

高梨 功次郎

理学科 生物学コース 分子共生生物学分野

植物が薬を作る仕組みを解き明かす

植物代謝産物の動態
植物は多種多様な化合物(代謝産物)を生産します。それら代謝産物の中には、 それを生産する植物自身にも有毒であるものが少なからず存在します。 しかしながら、有毒な代謝産物を生産する植物は自らが生合成する化合物に対して種特異的な自己解毒機構を有しています。 主な機構には、アポプラストや液胞などの細胞外に隔離する(タバコのニコチン)、無毒な状態で貯蔵する(ダイコンの辛味成分)、 毒のターゲット分子を変えてしまう(キジュのカンプトテシン)などがあります。

私の研究室では、植物が有するこの自己解毒機構の解明を目指して、代謝産物がいつ、どこで、どのように、 生産されて貯蔵されるのかを調べています。
マメ科植物と根粒菌の共生
マメ科植物はその根において窒素固定細菌(根粒菌)と共生して、根粒を形成します。この共生関係にはある程度厳格な宿主特異性があり、根粒菌が本来パートナーでないマメ科植物に共生しようとしても、拒絶されてしまいます。 では、マメ科植物が新しい土地に移動したとき、その共生関係はどうなるのでしょう? 今までのパートナーを連れてくるのでしょうか?でも、そのパートナーが新しい土地で生育できるとは限りません。では、新しいパートナーを見つけるのでしょうか?しかし、新しい土地にはパートナーがいない可能性もあります。 このマメ科植物の移動に伴う根粒菌共生の推移を調べるため、私の研究室では、北極圏を起源とする日本のマメ科高山植物に着目しています。 現在の日本の高山植物は北極圏から南下した植物に起源し、第四紀の最終氷期(約2万年前)以前には日本各地の高山に地理的に隔離にされたと推測されています。北極圏や日本の高山に生育しているマメ科植物の共生根粒菌を調べることで、マメ科植物が北極圏から日本へ移動する過程で、共生関係がどのように推移したかを調べています。

高校生へのメッセージ

1. 私の大学時代
大学時代は、沢を遡って、海外をほっついて、とあまり勉強に熱心な学生ではありませんでした。山か海外で何か研究出来たらいいな、と漠然と思っていました。が、配属された研究室で、マメ科植物の代謝産物の研究を始めてその面白さにはまって以来、実験室に閉じこもるのも厭わず、いろいろな植物の代謝産物の研究を続けています。

さらに、学位を取得してある程度余裕が出来たときに、いつも山で見かけるマメ科植物の共生関係はどうなっているのだろう?と、確かめてみたくなりました。研究を始めてみたところ、いろいろ不思議なことが見つかり......、現在に至ります。
2. 今のうちに
経験は財産です。いろんなことを経験して下さい。少しでも興味のあることを見付けたら、コストを惜しまずにどんどん挑戦して下さい。その経験が個性を作ります。
MENU