受験生向け研究紹介

坂本 勇貴

理学科 生物学コース 植物細胞生物学分野

オルガネラの「形」と「動き」の不思議

1. 植物オルガネラの形態・構造・運動の制御機構の解明
植物は動くことができないため、とても静的な生き物だと思われるかもしれません。しかし植物細胞の中をのぞいてみると、発生段階や環境変化に応じて様々な細胞小器官(オルガネラ)がその形を変化させ、ダイナミックに動き回り、くっついたり離れたりしており、とても動的な細胞を持つことが分かります。当研究室では、モデル植物を実験材料として、光学顕微鏡・電子顕微鏡での観察や分子生物学的、遺伝学的、生化学的手法を駆使して細胞内でのオルガネラの振る舞いを理解することを目指しています。
2. 生体組織の透明化手法の開発
植物組織の中にある細胞を生きたまま顕微鏡で観察しようとすると、まわりの細胞に含まれている多様な色素や細胞壁などの細胞構造が光を吸収したり屈折させるため、鮮明な顕微鏡像を得ることができません。そのため、植物を固定(生きた状態に近い状態で保存すること)し、細胞へのダメージを抑えつつ色素を高効率に取り除き、植物組織を透明にする方法を開発しています。

高校生へのメッセージ

1. 私の高校・大学時代
高校・大学では特別に何かに熱中したわけでもなく、勉強が抜群にできるわけでもありませんでした。生物系に進んだのも、受験科目の中では生物が好きだなという程度の理由でした。
2. 生物の研究に熱中した理由
こんな学生が研究を続けるきかっけは研究室でした。私が学部4年生で配属された研究室は、学生が自由に研究テーマを決めてよい研究室でした。ただ実際には4年生の知識と経験ではまともな研究テーマは考えられません。それでも研究室に行って、教員や先輩と話して、考えて、思いついた実験を試して、結果を先輩に相談する、という毎日を繰り返すうちに、4年生の終わり頃にとても素朴ですが、まだ誰も着手していなかった研究テーマを考えつきました。自分で考えた研究は愛着があり、修士課程以降は実験に没頭しました。この研究を捨てて他の道に進むことは考えられなかったため、今も研究を続けています。
3. 信州大学の魅力
生き物が大好きだという方だけでなく、少しだけ興味があるという方もぜひ信州大学に来てみてください。信州大学には、雄大な自然、生き物好きの学生、幅広い専門性を持つ教員など、生物に夢中になるきっかけがたくさんころがっています。
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