生物学コース 植物生態学分野

植物生態学分野とは

自然の植物群集では多くの種が共存しており、たがいに影響しあっています。また、気象条件なども植物群集に大きく影響しています。植物生態学分野では、植物個体群の維持機構、植物の群集構造の形成機構、植物個体の環境適応、植生分布の形成機構、温暖化の植生分布への影響評価、外来植物の在来植物への影響などを、幅広く調べています。亜高山帯や高山帯の木本と草本植物を中心に研究していますが、低地の植物も研究しています。研究手法として、野外での植物個体群の個体群動態の測定、光合成や蒸散などの生理生態、年輪年代学、遺伝学的な方法などさまざまです。また、野外での測定、室内実験、栽培実験などを組み合わせて研究を行っています。

森林の更新動態

森林は植物群落の中でもっとも巨大な生態系であり、樹木個体の寿命も非常に長いです。個体の成長率や死亡率も低いため、森林はいつ見ても同じように見えます。しかし、個体識別し、少なくとも数年間、調べてみると、個体の成長や死亡など、森林が少しずつ変化していることが分かります。そのような長期観察データから、さまざまな森林生態系の動態を調べています。また、温暖化の森林植生に対する影響についても調べています。写真は北海道東部の針葉樹と広葉樹から構成される針広混交林です。

植物の生活史

生活史の初期は死亡率が高いため、個体群動態にとって重要な時期です。植物種の成長戦略は種ごとに異なり、それは樹形の構築様式に反映されます。そのため、実生や稚樹がどのように樹形を構築しているのかを調べることは重要です。

高山植物の群集構造

標高傾度にそって、もっとも寒冷な場所に分布している高山植物は温暖化の影響を受けやすいと考えられています。しかし高山植物の分布は温度要因だけでなく、他の多くの環境要因も関係しています。高山植生は多くの種によって形成されていますが、種ごとに分布する環境は異なります。高山植物の群集構造の形成メカニズムを知ることは温暖化の影響を考える上でも重要です。その群集構造はどのように形成メカニズムについて調べています。写真は白馬岳の高山植生です。

生理生態

植物は光合成によって獲得した同化産物をもとにして成長します。光合成には光や温度などのさまざまな環境要因が関係します。さらに、光合成の同化産物はすぐに成長に使われるわけではなく、個体内に貯蔵され、翌年の成長に回されたりします。そのため、植物個体の成長や環境適応を考える場合、光合成など生理生態学的な視点からの研究も重要になります。
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