医学系研究科博士課程3年(組織発生学分野) 市川比奈子さんが第9回日本再生医療学会総会においてベストポスター賞を授与されました
第9回日本再生医療学会総会は、平成22年3月18日から19日までの2日間の会期で広島県広島市の広島国際会議場で開催され、医学系研究科博士課程3年(組織発生学分野) 市川比奈子さんが、ベストポスター賞を授与されました。
演題タイトル:ROCK inhibitorを用いたヒトES細胞凍結における遺伝子パスウェイ解析
発表者: 市川比奈子、中田尚宏、阿保洋一、白澤佐季子、永井美圭、横山忠幸、岳鳳鳴、友常大八郎、佐々木克典
ヒトES細胞はコロニーのまま凍結するため、解凍後の細胞の生存率は極めて低く、これまで、再生医療に求められる“短期間での大量培養”に耐えられるような状況ではありませんでした。この問題を克服するため市川らは数年前より、凍結装置開発、凍結技法及び凍結保護剤の改良を行ってきました(Cryobiol.54:290-293,2007)。今回、市川はROCK阻害剤を用いた新たな細胞生存効率の高い凍結保護法を開発するとともに、iPS細胞を含めた複数株への応用を試み、これらの細胞にも適応できることを証明し、汎用性に富む優れた方法として確立しました。さらに、凍結効果の機序を遺伝子パスウエイ解析により明らかにし、この技法の妥当性を明確にしました。
本研究成果は、新規ヒトES細胞凍結技術の開発、その汎用性の確立、遺伝子パスウェイ解析を用いた機序解明による科学的根拠を明らかにしたことが同学会により評価されたため、同受賞に至りました。