令和5年05月23日 取材

令和5年4月1日に理学部長に就任された玉木大理学部長に関男女共同参画推進センター長が理学部における男女共同参画の現状等についてインタビューをしました。

理学部における男女共同参画の現状

関男女共同参画推進センター長(以下「関」):理学部長へのご就任おめでとうございます。本日はよろしくお願いします。まず、男女共同参画推進の現状として理学部の教員の男女の割合を教えてください。

【理学部】玉木 大 学部長

玉木理学部長(以下「玉木」):女性教員は数学科0人、理学科物理学コース1人、化学コース1人、地球学コース2人、生物学コース0人、物質循環学コース1人、諏訪にある臨湖実験所に1人の合計6人です。理学部の教員が61人なので、1割弱です。私がここに来たのは30年前ですが、その時と比べると増えてはいます。女子学生の割合は、今年の1年生では数学科は男子45:女子9。理学科は131:41。女子学生にもっと受験してほしいですが、どのように増やすのか良い方法がなかなか見つかりません。

関:今、女性教員が全部で6名になられたとおっしゃいましたが、多いところは女性でも取り組みやすい分野なのですか。

玉木:地球学コースに2人いますが、山に登るので体力が要ります。数学科だと体力は要らないです。どちらかといえば数学の方が女性向けだと思いますが、そのようにはなっていません。数学とか物理は敬遠されている気がします。難しいイメージや、数学や物理を研究していると女性らしくないイメージがついているのかもしれません。

関:高校時代の物理のクラスは男性が圧倒的に多かったです。もう30年以上も前ですが、今もそのような現状は変わってないのでしょうか。

玉木:印象が非常に大きいと思います。親や学校の先生が無意識にバイアスで見ている気がしますし、生徒自身にも意識改革を促す取り組みをしないといけないと思います。理学部では昨年度から、JSTの事業で女子中高生の理系進路選択支援を行っています。昨年度は高校生に中央図書館に来てもらい、女性の研究者や学生の話を聞く、野外や企業に見学に行く等の機会を設けました。

関:理系に進むとこのようなことが出来る、選択肢が広がることになりますが、参加者は女子だけですか。

玉木:男子も参加できます。男性の視点も変えないといけない。そこは大事だと思います。

関:様々な課題がある中で先生はどのようなことにこれから取り組んでいきたいと考えていますか。

玉木:意識は急には変えられないので、中学高校に働きかけて意識改革を促すことは、継続していきたいと思います。研究者を育てる意味で、大学院に進学する女子学生を増やしたいと思います。

関:学部の中で分野によって女子学生の差もあるとおっしゃいましたが、多いところだと女子学生の割合はどのくらいですか。

玉木:生物学、化学は多く、数学や物理学は少ないです。

【理学部】玉木 大 学部長

ワーク・ライフ・バランス

関:理学部での働き方やワーク・ライフ・バランスについて、先生はどのようにお考えですか。

玉木:ワーク・ライフ・バランスは非常に大事です。デジタル技術を使って会議の時間を短縮し、回数を減らそうと試みています。教授会の資料を事前にGoogleドライブに置いておき、Teamsに質問・意見を書き込んでもらうようにしました。全学と理学部の動きは、私がスライドを作って説明しています。裁量労働制も活用するべきだと思います。オンライン講義もうまく活用できるといいと思います。

関:先生自身のワーク・ライフ・バランスはいかがですか。

玉木:現在は子どもも大きくなり一緒に住んでいないので、夜遅くても大丈夫ですが、以前は子育てを一生懸命やりました。保育園の迎えや買い物に行き、夕食を作り、高校生の時にはお弁当を毎日作りました。

関:先生、素晴らしいですね。そのお話はまたぜひ聞かせてください。

理学部を目指す方へのメッセージ

関:最後になりますが理学部を目指す学生にメッセージをお願いします。

玉木:理学部卒業生は就職が難しいと誤解されているようですが、数学も理論物理も企業では大変需要があります。理学部卒業生が企業に求められていることを理解し、数学や物理、生物等が好きなら理学部に来てもらいたいです。

関:本日はどうもありがとうございました。