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卒業生からのメッセージ

卒業生からのメッセージ

二十歳前後の4年間を信州大学で過ごすことができたことに感謝

投稿者名 森誠 | 投稿日 09年05月01日 | 農学部 昭和46年卒

 昭和42年4月の入学式で畜産学科出身の三村一学長の式辞を伺ったのはもう40年以上も前のことです。先生ご自身の研究を紹介され、ニワトリの卵は鈍端から出てくるのか、鋭端から出てくるのか、どうでもいいことかも知れないが、このような研究ができる環境を保持することが最高学府の使命である、というような話を今でも覚えています。たまたま私の専門も三村先生と同じ家禽の産卵生理学で、あまり役に立たないと思われている研究を静岡大学農学部で続けています。50年先、100年先の家禽産業を支えることができるような基礎研究は大学でなければできないと思っているのですが、最近の学生さんはすぐに実用化できるような、小手先の研究が好きなようです。学生さんだけではありません。全国の国立大学は5年前に法人化されましたが、それ以来、大学ブランドのお酒を売り出したり、企業の下請けのような研究をしたり、毎年成果が出るような小手先の研究ばかりがもてはやされるようになってしまいました。こんなことで日本の科学技術はどうなってしまうのか、と机を叩いて危惧しており、三村先生の式辞を改めて思い出している昨今です。私たちは団塊の世代で、在学中にはいろいろなことがあり、4年後に30名揃って平穏無事の卒業というわけにはいきませんでした。しかし、還暦を過ぎても30名揃って(ほぼ)元気というのは奇跡的なことかもしれません。そのうちの何人かとは年一回5月の連休に、山に登ったり、釣りをしたり、温泉につかったり、と家族ぐるみの旅行で楽しく過ごしています。昨年は信州百名山の一つ、飯田の熊伏山に登りましたが、途中で私が滑落して左足骨折、松本空港からヘリコプターが出動して救助されるという大騒動となり、皆に迷惑をかけてしまいました。お陰様で完治しました。今年の連休は大菩薩峠散策の予定です。人の一生を決める一番重要な時期である二十歳前後の4年間を信州大学で過ごすことができたことに感謝しています。