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信州大学URA室とは?信州大学URA室とは?

信州大学URA室とは?

はじめに。

URAはUniversity Research Administrator(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)の略です。直訳すると、「大学の研究管理者」や「研究理事」ですが、一般的な日本語訳の名称はなく通常URAと呼ばれます。その役割を簡潔に述べると、"研究者の研究活動の活性化と研究開発のマネジメントの強化"です。

信州大学では平成23年4月に「産学官連携推進本部 リサーチアドミニストレーション室」=信州大学URA室を設置し、現在、学内外との連携を強化させながら、活動を深化および進化させています。
今後さらにURA室が活動を活発化させ、地元信州をはじめ日本の発展に寄与するため、研究者・学術関係者・企業や行政の皆さんはもちろん、多くの皆さんにURA室について理解を深めていただきたいと思います。

なぜ今、日本にURAが必要なのか?

現在、我が国の国際的研究力は相対的に低下傾向にあります。原因はさまざまありますが、たとえば民間からの研究資金の減少、研究者1人あたりの支援者数の低下、教員配置の固定化やポスドク(博士号取得済研究員)などに代表される任期付雇用の増加による新陳代謝の低下、海外派遣研究者数の伸び悩み、国際共著論文の割合の低さなどが挙げられます。このままでは研究分野をはじめ科学技術や産業の面でも世界に遅れをとってしまいます。そこで政府(文部科学省)は国の課題として「世界で戦える研究力の強化」を掲げ、具体的なプログラムの掲示とそれらの遂行に取り組んでいます。つまり、国の発展のため、大学を中心とした高等教育機関において多くの実りある研究が精力的に進められること、そしてそれを実現させるための制度づくりが強く求められているのです。

1.国際的な存在感を発揮する研究力の強化
・ 国際的に高い水準で研究力の進展が期待できる大学に対する、大学独自の研究力強化支援
・ 基盤的経費&競争的資金サポートと大学の研究力強化のための継続的取組への戦略的支援
2.個別課題に対応したシステム改革を加速=改革実践の加速化支援
科学技術の振興に必要な重要事項について、優れた成果を創出するための研究システム・環境改革の促進

1と2を一体的に運用することで、国全体の研究力強化促進を目指します

なぜ今、信州大学にURAが必要なのか?

深刻な少子化に直面する我が国では、大学もある意味淘汰の時代を迎えています。そんな流れがあるにも関わらず、大学間競争や学内改革の活性化は未だほとんど見られません。その証拠に、国際競争力の指標である論文数のシェア比率を見ると、1~5%の上位層を占める大学の割合は(英国と比べて)非常に低いままです。この現状から国際競争力の低さと研究層の薄さを指摘することができます。そこで政府は、個々に強みを持った大学を層として形成し、研究大学強化の促進を目指すことになったのです。同時にその目的を果たすために、費用配分やプロセスイメージの策定を試みることになります。ここで重要なのが、研究力やユニークで革新的な取組への積極性など、大学独自の魅力が総合的に評価され、さらなる発展のために支援を獲得することなのです。

信州大学の研究推進戦略とURAシステムの位置付け

研究者が確実に成果をあげるためのあらゆる支援とマネジメントを行なうスペシャリストがURAです。信州大学の強みを生かした実績の積み上げに貢献し、大学全体のレベルアップと魅力の増強に尽力します。

1.中期計画における信州大学の研究推進戦略
信州大学の重点研究領域であり、世界的競争力を持つナノマテリアル(ナノカーボン)やファイバー分野で形成した「研究・産学官連携拠点」の拡大と発展


研究をワンランクアップさせ、同時に深化した産学官連携機能により産業振興への寄与を目指す
2.研究推進戦略におけるURAシステムの位置付け
既存URA室を含め、研究支援組織を一極化して機能を強化する「総合研究推進機構」を設置



学長直轄の研究戦略企画会議の下でURA室は以下を推進し、さらなる研究成果の創成と蓄積、社会還元を担う
・ 「研究・産学官連携拠点」を形成・拡大・発展させ、優れた研究者や学生が先進的な研究を推進できる企画を立案
・ 効果的な研究資金獲得や研究マネジメント

国や研究者に認められ地域に貢献する大学であるために、今URA室が必要とされています

URA室がもたらすものは?

では、URA導入に伴う政策的効果を示しましょう。

① 研究者の研究活動活性化のための環境整備

研究者が十分な研究時間を確保でき、最適な研究企画
・実施体制が構築されます。
・研究の質の向上と加速・ 若手研究者が活躍できる環境

② 大学等の研究開発マネジメントの強化

研究開発のマネジメントを行なうことで、社会・経済のニーズの把握、成果の円滑な活用促進、アウトリーチ(社会奉仕)活動の強化の実現が可能になります。また、戦略的な外部資金獲得サイクルを確立し、研究目的達成に向けた組織的取組の強化を図ります。さらに、コンプライアンス、利益相反、安全保障貿易管理、倫理的課題等への適切な対応が可能となります。そして、研究資金と人的資源が効果的および効率的に執行されるようになります。
・社会・経済への貢献
・日本全体の研究パフォーマンス
・国際競争力の向上
・イノベーションの促進

③ 科学技術人材のキャリアパスの多様化

科学技術人材の新たな職域が開拓され、雇用が拡大します。そして学内および産学官間の人材交流も促進されます。
・科学技術人材の多様化・流動性の向上

理想とするURA室の実現のために。

信州大学では、基礎研究段階から「産業界や地域の課題解決」、「研究成果の社会実装」を視野に入れ、理系文系を問わず広範な研究分野において、恒常的に産学官連携が推進されています。実績例としては、大学等産学官連携自立化促進プログラム中間評価(文部科学省)にてS評価獲得、大学地域貢献度ランキング(日経グローカル)にて1位(平成24年度)にランクイン、共同研究数や特許出願数等において地方大学の中でトップクラスを誇る、などがあります。また、中核分野において産業界や行政機関等と高密に連携した4つの「研究・産学官連携拠点」が形成され、多数の実績を創出しています。くわえて、新たに「世界の水を守るエコ・ナノカーボン研究拠点」(仮称)の整備が決定しています。


こうした研究拠点形成にあたり、企画・運営・構築から個々の研究者の支援や競争的資金を導入した産学官連携型研究開発の企画・運営まであらゆる支援を行なうのがURA室です。URAは研究者・企業・地方自治体を的確にマッチングさせて効果的に成果を生み出し、その成果を有効活用するためのネットワークを構築します。信州大学URA室ではそれらの任務を遂行するために、適切な人材の確保と教育、そしてURAが関係各所と迅速かつ強力に連携して任務を遂行し得るシステムの整備、さらにキャリアパスの明確化を行なっています。

室長メッセージ

研究者からURAへ。

私たちは今、国や企業、そして研究者からも"選ばれる大学"であろうと個性と実力に磨きをかけています。他に類のない「光」を放っていれば、研究者をはじめとするさまざまな能力を持つ人間が集まる場になり、さらなる発展が望めます。URAにしても研究者にしても、「若いから」「経験が不十分だから」という固定概念にとらわれることなく、その人物の内に秘めた能力や情熱をかんがみた総合的な可能性を深部まで見極め、斬新で革新的な創造を積極的に行なえる環境の整備をより一層精力的に進めて行くつもりです。最終的には、それらの研究の成果を活用・応用し、エンドユーザーに喜ばれるモノやサービスの創出を実現するためのビジネスモデルを構築したいと思っています。

これらの考え方や取り組みは、国内ではまだかなり先進的なものです。我々信州大学がいち早くURA制度や産学官連携システムを整備することは、地元・信州だけではなく日本全体の誇るべき財産となることでしょう。また、先に述べたように大学や研究者が直接関わるビジネスモデルの構築など、社会貢献と利益の還元までをも視野に入れた研究開発の在り方を積極的に考え、その実現に取り組みます。

世界へ飛翔する"オンリーワンの魅力あふれる地域拠点大学"へ

信州大学は、数ある高等教育機関の先駆けとして日本をリードする存在にならねばなりません。あらゆる研究が学術分野に留まらず、社会貢献という大きな役割を担っていることを自覚し、今後もさらなる躍進をお約束します。

そして私たち信州大学URA室は、今後さらに多くの若く優秀なURAを育て、世界を舞台に戦える研究者や研究グループを国内外から集め、信州大学を世界へ飛翔する"オンリーワンの魅力あふれる地域拠点大学"を目指し邁進し続けます。

信州大学URA室 室長:杉原伸宏