文部科学省「大学等シーズ・ニーズ創出強化支援(イノベ―ション対話促進プログラム)」事業は、2014年3月をもって終了いたしました。
ご支援、ご協力を賜りありがとうございました。

ワークショップに参加しよう

ワークショップに参加しよう

参加者Report 第2回対話型ワークショップ ワークショップの様子

会場の雰囲気

会場の雰囲気

今回の会場は松本市のあがたの森文化会館でした。大正期には旧制松本高校として使われた趣ある西洋風の建物で、内装外装共にシックなデザインです。暖房が効いた会場内に入るとサイドテーブルにはドリンクバーが設置され、コーヒーやジュース、お菓子が揃っています。いわゆる会議室らしい堅苦しさは感じません。

定刻が近づき徐々に会場が混み始めると、参加者の多くは見たところ30〜40代、職場では中堅どころといった感じの方が多い印象を受けました。最終的に30人弱の参加者が集まり、概ね1グループ6人に分かれてワークショップの開始を待ちます。

会場の雰囲気

司会からプロジェクトの説明

司会からプロジェクトの説明

ワークショップは司会のプロジェクト説明から始まりました。信州大学産学官連携推進本部リサーチ・アドミニストレーション室(=信大URA室) の「たっちゃん」と「とりっぴー」というコミカルなお二人からワークショップの目的や流れについて軽快かつ丁寧に説明を受け、参加者の顔はいつの間にかほころんでいました。

司会の説明によると、ワークショップの目的は「対話を通じたイノベーションの創出」。そのために信大URA室では工夫を凝らした対話手法を研究開発しているそうです。イノベーション創出のためには常識にとらわれない多様な意見、発言が必要であり、リラックスした状態が肝心とのこと。実はドリンクバーなどの会場アメニティへの配慮もこうした研究が反映されているのです。筆者もコーヒーをいただきながら肩の力を抜いて参加することができました。

信大URA室の詳しい情報は同室のホームページをご参照ください。

ワークショップ前半

ワークショップ前半

今回のワークショップのスタート地点は「ストレス」でした。司会の誘導でグループ内でのニックネームを決め、自己紹介を兼ねて最近はまっているストレス解消法を話します。ストレス解消法という趣味的部分に近い話題ということもあり、グループ内からは「お酒を飲みにいく」や「音楽活動」、「部屋で読書」など参加者それぞれの個性が表れた解消法 が挙り、すぐに打ち解けた雰囲気になりました。

ストレス解消法に続いて出されたテーマは「どんな時にストレスを感じるか?」でした。ここでのポイントはとにかく多く意見を出して人の意見にポジティブな反応をすること、という司会の説明を待つまでもなく、みなさん付箋にそれぞれの「ストレスを感じるとき」を書いてはテーブル中央の模造紙 に貼っていきます。仕事や生活の中にある身近なストレス原因が絶え間なく挙げられ、30枚以上の付箋で模造紙が埋まりました。意見はどれも具体的で共感できるものばかりです。この作業が終ると今度は出てきたストレスの原因を見直して整理します。グループで話し合いながら似ているもの同士をまとめていくと、いくつかのタイプが目に見える形で現れました。ワークショップは、このように沢山の意見を出し合っては、協力して整理するという行程を繰り返すことで問題意識を共有しながら進んでいきました。

ワークショップ前半

ワークショップ後半

ワークショップ後半

ストレス原因を整理したあとは、それらを1人のキャラクターに落とし込んでいきます。6人から出されたストレス原因を抱える架空の人物を1人設定し、その人がどんな生活をしているかグループ全員で考えて用紙に設定を書き込んでいきます。

筆者のグループでは、35歳男性営業職、既婚で2人の子どもがいるという設定で、名前はモンキッキーとしました。キャラクター設定が定まったら、今度は彼がストレスを感じていそうな場面をグループ内で出し合い、「こうだったらよかったのに」という彼の欲求を探ります。その結果、「モンキッキーが、 奥さんと分かり合い、癒し合うための商品・サービス」を考案することになりました。メンバーが挙げた意見に「なるほど」「いいね」などポジティブな反応が返り、さらに連想したアイデアを付け加える形でそれぞれの発言が波及していきます。普通の会議とは違って、終始笑い声が響いていたことが印象的でした。

ワークショップ後半

細かいキャラクター設定によりターゲット像を具体的に把握、共有できていたことも後押しとなり、実用的なものからユーモアに富んだものまで、さまざまなアイデアが飛び出しました。最後は意見を整理した上で、グループごとにアイデアを発表してワークショップは終了です。全体として笑顔が絶えないワークショップでした。

ワークショップ後半

ワークショップを終えて

ワークショップを終えて思ったことは、おそらく最初から世の中のストレスを解消する方法を考えていたのでは、曖昧なニーズばかりを追いかけて具体的に考えることができず、グループメンバーの意見を集約することも難しかっただろうということです。出てきたアイデアの中には、通常の会議では取りこぼしてしまったものも多くあったでしょう。また、ステップが細かく分かれていて時間をコントロールする司会進行役がいたことも場が活発に保たれ、自由な発言と整理見直しが円滑に進んだ要因だと思います。

参加者に聞いてみた

今日は、いろいろな人が集まって多様な意見を聞ける場だと案内をもらって、自分も体験したいと思って参加しました。(会議などで)普段はどっかでストッパーがかかってると思うんですけど、今日はそういうことなく自由に意見が言えるっていうのは単純に楽しいですね。普段の会議だと、評価とか反応を気にしてしまうけど、今日は自由に発言していいという設定なので、発言しやすかったです。特に発言に対して常にポジティブな反応をもらえるっていうのはトーク全体に影響しているんじゃないかと思います。あとニックネームは、ちょっと恥ずかしいですが、肩書きや価値観、年齢を超えて、話し合えるきかっけになっていると思いました。
(Aさん・男性)

今日は、職場でチラシが回ってきておもしろそうだと思って参加しました。終始明るい雰囲気でたのしいワークショップでした。グループ内で話し合ううちに出てきた人物像は、家族と仲良くしたいお父さんでした(笑)。みんなの抱えているストレスが机の上に集まって、それをみんなで話し合うプロセスが自然にでてきていて、沈黙はなかったですね。時間が分単位で細かく設定されていて、その時間内にやることが明確だったので何を話していいか分からないということもありませんでしたし。あと、意見が偏りそうになったり、話が脱線しそうになったときにはちゃんと戻してくれる人がいて、それもやりやすかったです。
(Bさん・男性)

今回のイベントを主催する信州大学URA室から参加の方に聞いてみた

今回は(ワークショップを主導的に仕切る)ファシリテーターというより一参加者として参加しています。ただ、場を盛り上げたり、意見が出ないときに積極的に意見をいうように気をつけているくらいで。だれかが引っ張っていく形じゃなくて、グループ内みんなから意見が出てきて、「集合知」が作られるようにしています。